もうだいぶ前のことだが、NHKの楽屋で、
今をときめく俳優、西田敏行さんにインタビューしたことがある。
この一連の取材は、「東北の100人」として、
無明舎出版から発刊された。
以下、かなり抜粋して紹介したい。
【俳優・西田敏行さん】
故郷は福島県郡山市。私と同郷。場が和んだ。ゴリラの物まねが絶品だ。だが「これは笑うに笑えない芸。人知れず悩み抜いた時の抜け殻みたい」と話す。
ゴリラの真似は、郡山から芸能界入りのため、上京して入学した高校一年の時、学校をさぼって出かけた上野動物園で覚えた。
欠席の原因は授業で使われる共通語の壁。孤独感をいやす唯一の相手がゴリラだった。
「一日中ゴリラとにらめっこ。みんなに訛りを笑われていたので、癒しになりました」。
五歳の時、郡山市内のおばの家に養子に出された。養父母は実の子以上に愛情を注いだ。
父は毎週映画館に連れていった。映画に夢中になった。それが高じて俳優を志望。東京・明大中野高校へ進んだ。大学中退後、本格的に俳優の道へ。翌年、劇団の主役に抜擢された。テレビの仕事も舞い込んだ。
「テレビを見た母親が、電話でよかったよかったと大泣きしました。私も胸がジーンと熱くなりました」。
時折郡山へ帰る。「忘れかけている福島弁でワイワイやって、気がつくと自分が一番なまっているんです」