中国の市民社会をテーマにするルポライター、

麻生春一郎さん(46)=東京都北区=が、

中国当局から入境を拒否されていたことが分かった。


麻生さんは日本の雑誌などに中国事情について執筆する一方、

中国のNGO(非政府組織)との交流を続けている。

麻生さんは今月4日、香港経由で広東省に入境しようとしたところ、

当局者から入境を拒否された。


昨年11月にも北京空港で入国を拒否されており、

広東省の当局者は拒否の理由について、

「前回と同じだ」とだけ答えたという。


私が現役の記者だったころ、中国外務省が、主に欧米の記者に対し、

会見で、「質問は中国語でしなさい」といった、

ささやかなトラブルがあったのを、鮮明に覚えている。

伏線には、これらの記者が中国の体制を批判をしたことがある。


そのころもひどかったが、今は改善ばかりが、悪い意味で、

エスカレートしている。

記者会見は、新華社通信、人民日報など、

政府系メディアの数が目立ち、外国人報道関係者は少数派。

しかも、「天安門事件」(1989年)についてなどの質問をすると、

次回の記者会見では、出席できなくなる。


言論の自由の無い国は、健全ではない。

中国人の生活は確かに昔に比べれば豊かになったのは、

間違いない事実ではある。

だが、こうした、自由に物が言えない国で、

一般庶民は心豊かな生活を送っているとは言えないだろう。