先週、スイスのローザンヌで国際オリンピック委員会
(IOC)の理事会が開かれ、
レスリングが、20年大会の実施競技の選に漏れた。
かつて、空手がテコンドーに破れ、
ロビー活動の大切さを思い知らされた。
東京都は20年大会の誘致を目ざしている。
この対比で思い出すのは1981年のIOC総会である。
88年五輪の誘致をソウルと名古屋が争い、ソウルが勝った。
当時の名古屋市長は「予想外」とうめき、
東京では文部省(当時)の体育局長が「まさか」と天を仰いだ。
新聞各紙も間違えた。毎日新聞は前日まで、
「名古屋勝利が動かず」「手ごたえ十分」と伝えた。
名古屋市の広報担当は、「負けるはすはない」と言っていた。
だが、落選の場合に備えて、
担当記者は「予定稿」すら用意していなかった。
管轄の毎日新聞中部本社報道部(名古屋)ではパニックになったという。
私は同本社報道部に勤務していたころ、
このエピソードを何度も聞かされた。
当時の担当者の取材が稚拙だったこともあったようだ。
レスリングの行く末は、上記の名古屋のようなことを、
「反面教師」としたい。
だが、レスリングの競技のルールは複雑で分かりにくい。
見ていても、点数のつけ方がよく理解できない。
情報活動の分析も不可欠だ。
ソウルのように積極的にロビー活動することも重要だろう。
他国のレスリング団体とも一致協力していくことも、
今後の重要な課題だ。