IPS細胞の生みの親である山中伸弥・京都大教授が、
ノーベル医学・生理学賞をとったことは新聞の号外が出ただけでも、
快挙である。
が、その直後に、IPSを細胞から心筋細胞を作り、
米・ハーバード大の暫定承認を受けて、
重症の心臓病患者に移植したと日本人記者団に、
日本人研究者の守口尚史が主張した。
これを受け、読売新聞、産経新聞などが大きく報道した。誤報だ。
毎日新聞などは「結論に説得力が乏しい」と記事化を見送った。
この「事件」の背景には、国を問わず、研究界の激烈な競争がある。
競争に勝てないと、研究費が少なくなる。
だから、研究者は躍起になるのは分かる。
でも、こうした捏造を見破る組織ができ、それを発展させることはできないものだろうか。
私は典型的な文系人間なので、新聞報道以上のことは分からない。
ただ、知り合いの理化学研究所(埼玉県和光市)の研究員は、
220以上の論文を書いたそうだ。
そうしたことが、今回の問題に影を落としていると言える。
メディア全体としてもこの問題を検証していく責務がありそうだ。
加えて、「裏取り取材」もきちんとやって欲しい。
今の若手の記者は、ネット、PCで調べて、
そのまま書いてしまうことが多くなってきている。
昔のように、足でかせぐ、という姿勢は少し変わってきたと思うが、
そう言われると、口を出すなと文句を言われそうなので、やめておく。