日本麻酔科学会は、会員である麻酔科医が国内外の専門誌に発表した、


麻酔薬の投与量などに関する論文193本のデータに不正の疑いがあるとして、


本格的な調査に乗り出したことを明らかにした。


この医師が准教授として在籍した東邦大は、今年2月、在籍中に発表した、


論文のデータをとった際に倫理規定違反があったとして、


この医師を諭旨免職処分にしている。


少し、似たケースだが、私が東京本社に異動になって、


初の大きな取材担当になったのが、当時の筑波大学大学院の論文をめぐる盗用疑惑だった。


同大の教授が知り合いでもあった元日本体育大学長の博士課程の論文に際し、


同教授のほかの博士課程の生徒の論文の一部を元学長に書け、としたものだ。


関係者宅を連日、夜回りして記事化した。まあ、一応はスクープだった。


あくまで、個人的な意見だが、アカデミズムに身を置く人たちは、


自分の研究対象には没頭するが、浮世離れした感は否めない。


要は世の中をよく知らないのだ。


「あのー、先生、すみません、○○○の件でコメントをいただきたいのですが(私)」


「それで、君は、私のは読んだことがあるのかい?」


「いえ、まだですが」


「ああそう、じゃあ、ちゃんと本を読んだら電話ください」


一分、二分を争う記者には、そんな悠長なことには言っていられない。


その先生、我々の血税で生活をしているわけだから、


頭にくるのを通りこして、あわれな先生だと思った。