判決を前に、毎日新聞ばかりか、他社も猛烈な「知る権利キャンペーン」を展開します。
ただし、起訴状の「情を通じて文書を入手」がキャンペーンをトーンダウンさせました。
判決は西山記者が無罪。元女性事務官が有罪ーー。
それ以前の問題として、新聞記者が機密文書を明らかにするようなことは、
まま、あることです。だいたい、それで逮捕されること自体が不当です。
元女性事務官は、政府とつながっていないとは言えない弁護士のもとで暮らすことになります。
それで、その弁護士の言いなりになる。
そして、「情を通じて、情報を入手」が、週刊誌などに飛び火していきます。
元事務官は控訴せず、有罪が確定しました。
裁判は、知る権利、報道する側からすると「報道の自由」がないと、取材は制限される。
どこからが機密事項というのは、極めてあいまいです。
控訴審では、元事務官が週刊誌に書いた独占手記が波紋を広げます。
裏には国家公務員の身分ながら、やることは暴力団と同じ、警察・検察の存在があります。
結果、控訴審、最高裁でも西山さんの有罪が確定しました。
この本の中では、情を通じ、とありますが、百歩譲って、いったいそれがなんなのでしょう。
起訴状では、再三、脅かされ、やむにやむなく文書を渡したなどと記されていますが、
常識の範囲内でいっても、そんなことはありえないはずです。
その無理やりを演出するため、元女性事務官の手記が出口をふさいだのです。