消費税率の引き上げが現実味を帯びてきました。管直人首相が、「4年間は消費税増税の必要はない」としてきた鳩山由紀夫前首相の方針を大転換し、自民党が参院選で掲げた「当面10%」を参考に、
年度内に改革案をまとめる考えを突如表明したためです。
国会議員の定数削減や公務員改革、バラマキ予算の見直しなど、消費税率を引き上げる前に、手をつけるべき課題や無駄の削減の余地はまだまだあります。消費税議論だけが先行し、これらが棚上げにされることは断じて許されないと思います。
ただ、民主、自民の2大政党がそろって「10%」を打ち出したことで、数字が一人歩きを始めたことも事実です。
それにしても、なぜ、「10%」なのか。果たして、これは現実的な数字と言えるんでしょうか?
消費税は国の予算総則で「基礎年金」「老人医療」「介護」の3分野にかかる費用の財源に使うとされており、
社会保障費の安定財源として期待が大きいです。ところが、社会保障費は社会の高齢化に伴い伸び続いています。
平成22年度は3分野で約16・6兆円が必要ですが、消費税でまかなわれるのは、約6・8兆円にすぎません。
残る約9・8兆円は借金などで穴埋めしなければならないのが実情です。
自民党が「当面10%」したのは、引き上げ分をこの約9・8兆円を中心に振り向けようという発想からです。
消費税を1%引き上げると約2・4兆円の税収増が見込まれます。5%から10%に上げれば、約12兆円の税収増となります。「10%」ならば、十分賄えるとの計算です。自民党は穴埋め以外い、基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引き上げ分を含め、少子化対策や年金・医療・介護の機能強化にも使うとしています。
特に介護は賃金が安すぎるので、このへんの対策をしっかりやってほしい、とableは思います。
自民党に対して、民主党の使途はあいまいです。
当初、管首相は、強い経済、強い財政、強い社会保障を一体的に実現させる「第3の道」を唱え、
「増税しても使い道さえ間違わなければ景気は良くなる」との立場から、増税分を成長分野に振り向ける意向を示していました。
ところが、4月18日の記者会見では「現行消費税では高齢者福祉にかかるものが10兆円ほど足りない。自然増を念頭に考えるとこの程度が必要だ」などと説明しました。
確かに、管首相は医療や介護も成長分野になりうるとの考えを示してはきましたが、民主党政権は成長分分野として環境や観光、ITなどもかかげています。こうした分野に回すという話は立ち消えになったのでしょうか?