私は長いこと新聞記者をしてきたので、

書店で『北海タイムス物語』を見つけ食指がピクピクした。

で、内容を読んでみると、実におもしろい。

 

主人公(野々村)は早稲田大学の教育学部卒なのだが、

在学中、司法試験のサークルに入り、弁護士を目指す。

 

しかし、なんの因果かは知らないが、実際に発刊されていた

「北海タイムス」に入社する。

 

新聞社というと、高収入というイメージがあったのだろう。

しかしながら、なんと、この新聞社の年収は幹部も含めてたった200万円。主人公は銀行のカードローンを50万円借り、サラ金にも手を出す。挙句の果てには土方まで手を出す始末。

 

主人公は当初、整理部に配属される。地味で日の当たらない職場である(私も半年所属)。それが、超過労働。一日の睡眠時間はたった4、5時間。

 

主人公にはサークル時代からの彼女がいて、場が悪いので、「社会部」の記者と嘘をついていた。

 

大型連休当たりだっただろうか。彼女がこの新聞社の本社のある札幌にやってくる。

 

ところが、先輩のいたずらで、主人公のスーツの背中に、「私は整理部員です」と張り紙が張られ、彼女と不仲となる。

 

いやいやながら、整理部の仕事をしてきた主人公だが、「ミスタータイムス」と言われた整理部の超ベテランが退職すると聞く。

 

「一か月でいいから技の伝授をお願いします」と主人公。鬼のような猛特訓の末、周囲の男女が「かっこいい」と言われるぐらい、崇高な記者となる(整理だって立派な記者ですよ)。

 

ラストは鉛活字「北海タイムスとともに」10個をその教師役を演じたミスター北海タイムスの手に渡した。

 

ヤケド注意の感動作である。

 

ちなみにこの本の作者は増田俊也さん。彼は北海道大学中退後、

「北海タイムス」に2年在籍した後、中日新聞社に移った。2016年から作家活動に専念している。