ある地域猫さんのお話
すべての人に人生があるように、どんな猫にも猫生があります。
これは、ねこ友会でTNRした野良猫が、地域猫として生涯を終えた1匹の猫さんのお話です。
かつてねこ友会の会員だった方が、自身の経験を通して、猫にとって外での生活がどれほど厳しいものかを綴って下さいました。
前編と後編の2回に分けてご紹介させていただきます。
前編
2020年8月。
その猫は、産まれて間もない小さな子猫を連れて我が家の裏庭に現れました。
白黒のハチワレで、鼻にちょびヒゲ模様。以前他のTNR現場で見かけていた、お腹の大きかった雌猫です。
警戒心が強くて捕獲器に入らず、どうしても捕まえられないでいるうちに、行方が分からなくなってしまっていたのです。
それからほどなくして、その母猫は産まれた子猫を連れて我が家に姿を現したのでした。
少し離れたところから観察すると、2ひきの子猫は夏風邪で目も鼻もぐちゃぐちゃです。
早く保護をしないと命を落としてしまいますから、今回は捕まえられないなどとは言っていられません。
捕獲器を2台用意し、まずは2ひきの子猫を捕獲。
母猫は、子猫を助けようと必死に捕獲器の周りをうろうろしているうちに、もう1台の捕獲器に入りました。
当時まだ預かりさんの手が足りなかったねこ友会は、2ひきの子猫の保護を協力団体様に依頼、触れない猫だった母猫は、術後元の場所にリターンしました。
まだ少し麻酔の残る体で、母猫は一生懸命いなくなった子猫を探します。
その鳴きつづける声を、とても切ない気持ちで聞いていた事を今も鮮明に覚えています。
(さくら耳になった母猫。恐らく2019年の秋産まれ)
リターンして3日、母猫は鳴くのをやめました。
これからは不幸な命を産み増やすことなく、自分のご飯と安全だけを確保して生きていく、地域猫としての猫生の始まりです。
しばらくは、朝と晩はご飯を求めて転々と近所を歩き回り、日中は我が家のお隣の軒先で日向ぼっこをするのが日課となった様でしたが、姿を見かけるとご飯を出すようになった我が家にロックオンした母猫は、いつしか完全に我が家で食餌をする様になりました。
こうなるともう、“うちの”外猫です。私は彼女を「ちょび」と呼び、朝も晩も姿を探してはちょび~ご飯だよ~と声をかけてご飯を出しますが、その距離は一向に縮まりません。
ご飯皿から私が離れるまで、遠くからジトっとこちらを見つめています。
さすがなかなか捕獲器に入らなかった猫。きっと心を許してくれる日なんて来ないんだろうな、別に元気ならいいんだけどと思いつつ、少し寂しくも感じていました。
ある日、2泊の外出から戻って玄関のカギを開けていると、後ろから「ニャッ」とかわいい声が。
まさかと振り返ると、ちょこんと座ってこちらを見ているちょびの姿!
どこ行ってたの?ごはん?こっち向いて?一体、なんと言ったのでしょう。
この時、ちょびが初めて私に声をかけてくれたのです。
それはそれは嬉しくて、一目散に駆け寄って抱きしめたい気持ちでした。
それからしばらく、相変わらずの距離ではあるものの穏やかな日々は続きました。
おしゃべりになったちょびの、ご飯を督促する声やウッドデッキでくつろぐ姿、お手製のじゃらしで遊ぶ姿や、名前を呼ぶと遠くから短い足で走ってくる姿はとても可愛らしく、いつしか毎日の風景に当たり前にある愛おしい存在となりました。
深夜にギャーと猫が喧嘩する声を聞こうものなら、雄猫がちょびをいじめているのではないかととても心配になったものです。
2024年2月。そんな幸せな風景に、影が落ち始めました。
ちょびがご飯を残すようになったのです。
変わりに、何かを訴えるようにニャーニャー鳴きながら家の周りをぐるぐると回ります。
フードに飽きたのかと思い、種類を変えてもちゅーるをあげても食べません。
家に入りたいの?とベランダの窓を開けても逃げてしまいます。
何を伝えようとしているのかわかってあげられないまま、夕方になると寒いウッドデッキに座ってじっとこちらを見つめるちょびに、ごめんねとつぶやいてカーテンを閉める時いつも胸がチクリと痛みました。
間もなく日中は姿をみせなくなり、夜だけ駐車場に設置していた発泡スチロールハウスに帰ってきているようでした。
他所に美味しい餌場を見つけたのかな、間もなく春だから行動範囲が変わったのかななどと考えていた3月半ば、久しぶりにハウスから出ていく後ろ姿を目にしたちょびは、明らかに足元がおぼつかず衰弱していたのです。
翌早朝、ハウスにそっと近づき、素早くネットを被せて保護。
力なく抵抗するちょびを初めて抱き上げ、急いで病院へ連れて行きました。
外猫だから、エイズかもしれない。もしも口内炎で食べられないなら、全抜歯をしてあげればまた食べられるようになるのではないか。
この冬さえ越せればきっとまた1年生き延びる事が出来るのではないか。
どうか間に合いますようにと祈りながら検査をしてもらった結果は、BUN計測不能、クレアニチン14。腎不全の末期でした。
餌場には常にたっぷりの水を置いていましたが、特に外猫は寒い冬にはほとんど水を飲まなくなってしまいます。
元々ウェットフードを好まず、寒さで風邪をひき免疫を落としたちょびは、水分不足と重なり一気に腎臓を悪化させてしまったのだと思います。
きっと多くの猫飼いさんがご存じの通り、壊れた腎機能が元に戻る事はありません。
せめてこれからは、安全で暖かな場所で過ごさせてあげたい。
残りの日々を、可能な限り穏やかに過ごせるようにしてあげたい。
そう思った私は、ちょびの最期の日まで寄り添う事を決め、病院から戻ると家の離れに介護スペースを作りました。
その時、人間に触られるのは不本意そうなちょびに、もはや抵抗する力はありませんでした。
(保護直前、
どこへ行けばいいのかわからなくて困っている様子)
次週、後編として続きをご紹介させていただきます。
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