分かっている。
皆さんの言いたいことは十二分に分かっている。
しかし、事態は急を要するのだ。
申し訳ないが今は僕の話を聞いてほしい。
結論から話そう
僕は今、原因不明の腹痛に見舞われている。
こんな状況でも「できる人は結論から話す」というどこから仕入れたかも定かではない知識に頼り見栄を張る己の浅はかさが嫌になるが
そんなことも今はどうでもいい
何故なら腹痛だからである。
僕も30年余り生きてきた人間だ。
様々な腹痛を経験してきた。
小学生に受けた兄の腹パンから、"KING OF PAIN"と称される尿管結石まで経験済みである。
流石に救急車を呼ぶのに一瞬も躊躇しなかった尿管結石の痛みと比べれば、まさに王様と一般人というレベルの違いはあるが、まあまあ強めな一般人だ。
というか腹痛というものは総じて耐え難い。
そして何より今回問題なのが、原因不明という点だ。
人は理解できないものに恐怖を覚える。
原因が分かれば納得ができる。
どれくらいで回復するのか予想ができ、対処法が考えられる。
しかし今回は心当たりがないのだ。怖い。
つまり今の僕は、原因不明の腹痛と精神的恐怖に襲われている。
分かりやすく言えば、
なんか知らないけどお腹痛いめっちゃ怖いである。
ここまで読んでくれた皆さんは思った事だろう。
「こいつ何ヶ月かぶりに更新するブログの内容これで行くつもりか」と。
無論、行くつもりである。
僕も分かっている。
毎週月曜更新と謳いながらも、休載の報告も無しに昨年の夏から急にブログを更新しなくなった俳優が久しぶりに更新したブログの内容
絶対これじゃないな、と。
一般的に正しいのは謝罪と説明だ。
こんなくだらないブログでも、少なからず更新を楽しみにしてくれていたファンの方々がいるわけで
久しぶりの更新となり申し訳ございません。
私事ですが、色々と事情が重なりブログの更新をしておりませんでした。
そんな一文から始まるべきである。
しかし、そんなブログを読んでも誰も楽しくない。
そんな事を書かれても、ファンの方は気を遣って「更新ありがとうございます。自分のペースでいいですよ」というしかない。
それはファンの方々への甘えだ。
ファンの方が優しいからってそれをあてにしてはいけない。
というか「久しぶりの更新となり申し訳〜」という文章ならこの半年で何度も書いては消してきた。
多分その内容だと、誰も得はしないし僕は更新しない。
楽しみにしてくれている人からすれば、更新しないのが1番の悪だ。
そして待ってくれているのは普通のファンではない。アビブロのファンである。
故に僕は腹痛の勢いに任せて、休載をものともしないHUNTER×HUNTERをリスペクトしつつ筆を走らせるしかないのだ。
話を戻します。
腹痛である。原因が知りたい。
まず、突然の腹痛の時に一番疑うべきは食あたりだ。
経験上、というかお腹を下している時点で原因は食べ物と考えられる。
しかし分からない。
思い返してみても、心当たりとなるものがないのだ。
「賞味期限切れだけど、まだいけるだろう。だって男の子だもん」という謎の自信で腹痛に見舞われる事は日常茶飯事だが、今日怪しきものは食べていない。
今日の夜食べたものといえば
ハニーマスタードチキン
もやしナムル
ちくわ
この3名が容疑者として捜査線上に浮かんでくる。
晩御飯の組み合わせが歪で若干恥ずかしいのはさておき
まず疑わしいのはハニーマスタードチキンだ。
肉類と腹痛には深い因果関係がある。
火が通っていなかったのか?
いや、それを懸念して塩コショウで下味をつけた鶏肉はいつも以上に入念に両面を焼いた上に、白ワインで蒸し焼きにした。生だったという事はない。
では、もやしナムルか?
いや、そんなはずはない。
もやしも沸騰したお湯に入れ1分以上は茹で、ごま油、塩、少々のおろしニンニク、鶏がらスープの素で味付けした。何の問題もない。
何よりもやしだ。
「弱々しい」「痩せている」ことを揶揄する悪口としても使われるあのもやしだ。
我が胃腸がもやし如きにやられるはずがない。
ちくわ。
袋から開けてそのままパクついたちくわ。
ちくわでしかない。
当然、鶏肉ももやしもちくわも賞味期限は切れておらず、3名ともアリバイがある。
いかに僕が高校生探偵より歳上のお兄さんといえども、犯人を特定する事が困難である。
ならばもうこの手しかない。
できれば使いたくない方法だが、原因を特定しなければこの腹痛に対処できない。やむを得ない。
僕が長年の経験と独自の研鑽で編み出した調査法
「悪いものはもう一回食べるともう一回お腹痛くなる」
これだ。
この方法ならかなり信頼度のある証拠が手に入る。
しかし、安全性を重視する現代社会においては推奨されない方法だ。
なにせ真実を手にするかわり、ほぼ確実にもう一度お腹が痛くなる。
腹痛から逃れる為に原因を知りたいのに、原因を知る為にまた腹痛になろうというのだ。
ほとんど哲学である。
しかし、僕も哲学者の端くれだ。
虎穴に入らずんば虎子を得ず
肉を切らせて骨を断つ
ここで引くわけにはいかない。
まだ残っているのはもやしナムルだけだが、十分だ。
ちくわの線はまず無い。
となればチキンかもやし。
もやしが白ならチキンが黒。逆もまた然りだ。
たしかめるのはもやしだけでいい。
僕は「もってくれよ、俺の身体」と小さく呟きもやしナムルを口に入れた。
美味しい。いい味付けである。センスがある。
しかし、そう思った数分後、見事にさらなる腹痛に見舞われた。
痛みに襲われながらも、僕は不適な笑みを浮かべ呟いた
「やはり、お前だったか」
しかし、そんな僕の言葉にも動揺はおろか微動だにしないもやしナムル。
……もやしは犯人ではない?
そして気づいた。
この方法は一度腹痛が治ってからじゃないと意味がないのだと。
お腹を下してる時に何を食べてもさらに下すだけなのだと。
なんて事だ。
まるで僕が馬鹿みたいじゃないか。
捜査は振り出しに戻ってしまった。
トイレから戻った僕は水でも飲んで落ち着こうと冷蔵庫を開けた。
すると、目が合った。
まさか
そう思い粒マスタードの瓶を手に取り、賞味期限を見る。
"2025.1.12"
蓋を開けてみれば、なんて事はない。
いや、
この蓋を開けた時、僕の負けは決まっていたのだ。
気づけば、腹痛は治っていた。
それが原因が分かったからなのか
久しぶりのブログに夢中になって2時間以上書いていたからなのかはは分からない。
僕がはっきりと言える事は一つだけだ。
アビブロファンの皆様、ブログ更新しなくて申し訳ございませんでした。
久しぶりのブログがお腹を下してる品のないブログですみません。
またちょくちょく書くので読んでいただけたら嬉しいです。
欲張って言えばコメントでもSNSのリアクションでもいただけたら励みになるのでもっと嬉しいです。
それでは最近暖かくなってきたので皆さまも賞味期限にはお気をつけて。
おやすみなさい。
安孫子宏輔