
ショート動画を見ていると、英語圏のミーム効果音が日本の動画にもよく使われているのに気づきます。ドンッという重い低音、気の抜けた「bruh」、がっかりした「womp womp」。音だけで笑いが伝わるので便利ですが、元の意味やニュアンスを知らないまま使うと、狙いと違う印象になってしまうこともあります。
私はパキスタンのカラチでフリーランスのWeb開発者をしていて、ブラウザで使えるミーム効果音サイトのMeme Tapを作っています。この記事では、日本のクリエイター向けに、よく使われる英語のミーム効果音の意味と、どんな場面に合うかを整理します。音の由来については諸説あるものが多いので、ここでは広く知られている範囲で説明します。
vine boom:「えっ」という間を強調する重低音
vine boomは、短く重いドンッという低音に、少し残響が付いた音です。名前は、2017年に終了した6秒動画アプリのVineに由来するとされています。Vineの投稿者たちが、意味ありげな視線や、とんでもない発言のあとにこの音を入れたことで広まりました。
意味としては「わざとらしいドラマ」です。本当に深刻な場面ではなく、どうでもいいことを大げさに見せるときに使います。
- 誰かが変なことを言った直後の「間」
- カメラに向かって無言で見つめる場面
- 予想外のオチが明らかになった瞬間
日本語の感覚でいうと、バラエティ番組の「ドーン」というテロップ音に近いかもしれません。ポイントは、音が鳴った瞬間に映像を止めるか、表情のアップにすることです。音と映像のタイミングがずれると、ただのノイズに聞こえてしまいます。
bruh:「マジかよ」「え、何それ」
bruhは、低くて平たい声で「ブルー」と言う短い音声です。英語のスラングとしては、相手の言動にあきれたり、信じられない気持ちを表したりするときの言葉です。
日本語に置き換えるなら「マジかよ」「いや、何それ」「はぁ……」あたりが近いニュアンスです。怒っているのではなく、半分笑いながらあきれている感じです。
使いやすい場面は次のようなものです。
- 自分の失敗を自分でツッコむとき(入力ミス、料理の失敗など)
- 明らかにおかしな理屈を聞いたとき
- 期待していたものが残念な結果だったとき
注意したいのは、他人を見下す使い方です。自分へのツッコミとして使うと笑いになりますが、特定の人に向けて繰り返すと、からかいに聞こえることがあります。
womp womp:「残念でした」
womp wompは、トロンボーンのような音が下がっていく「ワンワーン」という音、または同じ響きを声で言ったものです。英語では、ちょっとした失敗や期待外れを表します。
ニュアンスは「残念でした」「はい、終了」に近く、軽くて少しとぼけた感じがあります。深刻な失敗には合いません。焦げたトースト、崩れたケーキ、乗り遅れたバスくらいの、笑って済ませられる失敗にぴったりです。
クイズ番組の不正解ブザーと似ていますが、ブザーが「間違い!」とはっきり判定するのに対して、womp wompは「あーあ」という同情まじりの響きがあります。どちらを使うかで、動画の空気が少し変わります。
rizz:「キマった」(ただし皮肉が多い)
rizzは英語のスラングで、異性を惹きつける魅力や、口説く上手さを意味します。charisma(カリスマ)を短くした言葉だと広く理解されていて、主要な辞書にも載るほど一般的になりました。
rizzの効果音は一つに決まっているわけではなく、低くてなめらかな音や、軽い低音のヒットなど、いくつかのバージョンがあります。共通しているのは「今の、キマったでしょ」という合図です。
ただし、実際の使われ方は皮肉が多いです。
- 全然スマートじゃない決めゼリフのあと
- 眉を上げてドヤ顔をした瞬間
- 動物やキャラクターが妙にかっこよく見えた場面
本当に魅力的な場面より、「かっこつけたけど微妙」な場面のほうが笑いになります。日本語の「ドヤ顔」に近い感覚で使うと分かりやすいと思います。
goofy ahh:「マヌケな」「アホっぽい」音
goofy ahhは、ばねのような「ビヨーン」、おもちゃの「キュッ」、スライドホイッスル、コツンという打撃音など、アニメのようにマヌケな効果音全般を指す言葉です。goofyは「おバカな」「間抜けな」という意味で、ahhは強調の役割をしています。
このフレーズはアフリカ系アメリカ人の英語の言い回しから広まったスラングで、少しくだけた、場合によっては下品に聞こえる響きがあります。カジュアルな動画やゲーム配信なら問題ありませんが、学校や仕事関係の投稿のタイトルには使わないほうが無難です。音そのものは子ども向けアニメのように無害なものがほとんどです。
ほかによく見かける英語の効果音
oof:「痛っ」「うわ、きつい」
oofは、ゲームのRobloxでキャラクターがやられたときの短い声として知られるようになった音です。英語の感嘆詞としても「うっ」「痛っ」「それはきつい」という意味で使われます。
物理的に転んだり、ぶつかったりする場面だけでなく、「その発言は痛い」「その点数はきつい」のような、気まずい場面にも使えます。bruhがあきれる音なら、oofは同情しながら顔をしかめる音です。
不正解のブザー:「はい、違います」
クイズ番組でおなじみの「ブーッ」という音です。英語圏でもincorrect buzzerとして定番のミーム音になっています。意味が世界共通なので、日本の視聴者にもそのまま伝わるのが強みです。自信満々に答えて間違えた場面、予想が外れた場面など、「判定」をはっきり見せたいときに向いています。
字幕で意味を補うのも一つの方法
bruhやrizzのように、意味を知らないと伝わりにくい音を使うときは、画面に小さく日本語の字幕を添えるのもおすすめです。たとえばbruhが鳴る瞬間に「(マジかよ)」と出すだけで、英語のスラングを知らない人にも笑いのポイントが伝わります。
字幕は音より少しだけ早く出すと読みやすくなります。音と同時、または音の直後に出すと、文字を読んでいるうちに笑いの「間」が過ぎてしまうからです。
日本の動画で使うときのコツ
意味が伝わらなくても成立するか考える
英語のミーム音は、日本の視聴者の多くにとって「音のノリ」だけで伝わるものと、意味を知らないと伝わりにくいものがあります。vine boomやgoofy系の音は音だけで面白さが伝わりますが、bruhやrizzは意味を知っている人のほうが楽しめます。視聴者層に合わせて選びましょう。
一つの場面に一つの音
boom、bruh、womp wompを同じ場面に重ねると、どれも弱くなります。一つの「間」には一つの音、が基本です。
音量はセリフより少し下げる
効果音がセリフより大きいと、肝心の言葉が聞こえなくなります。特にbruhのような声の素材は、話し声より少し小さめにすると自然です。
頭の無音を切る
ダウンロードした音の冒頭に無音があると、タイミングが遅れて聞こえます。動画編集アプリに入れる前に、音の頭を切っておくと合わせやすくなります。
ダウンロードはライセンスではない
サウンドボードから音をダウンロードできても、それがどんな用途にも使ってよいという許可になるわけではありません。個人の楽しみと、企業アカウントや収益化した動画では事情が違います。各プラットフォームのルールも確認してください。
もっと詳しく知りたい方へ
それぞれの音の由来や使われ方は、Meme Tapのブログに英語で詳しくまとめています。
vine boom、womp womp、bruhの由来については、ミーム効果音の由来をまとめた記事(英語の記事)で、Roblox oofやpluhと合わせて紹介しています。rizzの意味や音のバージョンの違いはrizzの効果音を解説した記事(英語の記事)、goofy系の音の種類と使い方はgoofy ahh soundsの解説記事(英語の記事)をご覧ください。
意味を知ってから使うと、同じ音でも狙ったところで笑いが取れるようになります。ぜひ自分の動画の「間」に合う一音を探してみてください。