シンドラーのリストを選曲するということ・


                         その考察part3


             ~祈り・繋がれていく未来~










2019、20~シーズン、

「シンドラーのリスト」の曲で演じるプログラムが複数あります。

それぞれ、国、バックボーン、立場が異なり、
様々な角度で描かれています。

11月のNHK杯男子フリーでは、3選手が
「シンドラーのリスト」で演技をされ、

Twitterのトレンドで「シンドラーのリスト」の
言葉が、NHKでの放送時間にトレンド上位に入っていました。

こちらのblogでは、複数回に渡り、

「シンドラーのリスト」を選曲するということ・その考察、と題して様々な角度から、
考察をさせて頂いています。



映画「シンドラーのリスト」トレーラー






「シンドラーのリスト」と同時代、

赴任先のリトアニアで、

国の方針に背きながら、人として、ユダヤの人々に日本通過ビザを発給した日本人外交官がいました。

自らの判断で大使館に押し寄せるユダヤの人々に、シベリア鉄道を使い日本を経由し、

北米、南米等の他国へ避難する為の通過ビザを発給した外交官・杉原千畝(すぎはらちうね)さん。

「Sempo Sugihara 」

ちうねという名前が海外の人には読みづらかった為、センポとおっしゃられていたそうです。


映画「シンドラーのリスト」にちなんで、

「日本のシンドラー」等と呼ばれています。

シンドラーや杉原千畝をはじめ、

同じ時代に様々な場所で、人道的な行為をされた方々がおり、

ネットで検索すると

「○○のシンドラー」という様な表現で見つける事があります。

杉原千畝さんの事は、ドラマ、映画、演劇、オペラ、ミュージカルと様々な形で伝えられ続けています。

また、出身地の岐阜県に記念ミュージアム


東京駅八重洲口から徒歩5分ほどの場所にも、
記念ミュージアムがあります。







近年、映画版は唐沢寿明さんが杉原千畝さんを演じています。

映画「杉原千畝 スギハラチウネ」トレーラー



こちらのblogでもご紹介させて頂きましたが、

2019、20~シーズン、

🇺🇸JasonBrown選手のフリープログラムは、

「シンドラーのリスト」

ユダヤ系のバックボーンを持つJasonは、

映画版のサウンドトラックを使い、物語の世界を
氷上で語り始めています。

 静かに語りかけられる物語です。







そして、今シーズン、

日本の宮原知子選手のフリープログラム
「シンドラーのリスト」

ジョン・ベイレスさんの編曲・演奏による、

ラフマニノフの「鐘」とのMixバージョンによる
プログラムです。


日本人の立場から、異なる角度で取り組まれている「シンドラーのリスト」のプログラムは、

「祈り」を感じる素晴らしいプログラムだと思っています。

Jasonの物語る「シンドラーのリスト」の世界…

Jasonのプログラムと、宮原選手のプログラムを続けて見ると、辛く悲しい世界へ、

そして平和な世界をと、

深い祈りを捧げてくれている様な気持ちになりました。




演奏されているジョン・ベイレスさんは、
ご病気の後遺症で、左手のみでピアノ演奏をされています。




ベイレスさんの演奏動画を拝見すると、冒頭、
ピアノの中に手を入れて、ピアノの弦をはじいて
演奏されています。

(※🎹ピアノは有鍵打弦楽器という名称があります。鍵盤を弾くと中に張られた弦を下からハンマーで打ち音がでます。グランドピアノ等、お近くで見る機会がありましたらぜひ中をご覧下さい)

宮原選手の使用しているバージョンでも、

凍てつく様な音の響きが聞こえてきます。




病気の後遺症や、怪我等で右手に支障がある為、左手で演奏されているピアニストの方は複数おられ、

編曲、作曲等され素晴らしい演奏活動をして下さっている事があります。

ベイレスさんも、素晴らしい演奏をされています。

「シンドラーのリスト」は立場の違う様々な国の選手に演じられています。


同じベイレスさんのバージョンで、🇩🇪ドイツの

ペーター・リーベルス選手も演技をされています。


欧州、北米等ではホロコーストは、様々な意見が出る、とてもセンシティブな歴史です。

フィギュアスケートでも様々な国、立場の選手が演じることがあります。

衣装に関しても、今シーズンも含め物議が出ています。


ホロコーストの加害側であるドイツのリーベルス選手が、

このプログラムに取り組まれた事に、私個人は、
とても衝撃を受けました。

ホロコーストの跡地は歴史ミュージアムとなっている場所があり、 

ドイツでは、

歴史を知り、繰り返す事のない様に考える事をされていると聞いています。


リーベルス選手の「シンドラーのリスト」では、

祈り、贖罪、そして間に響くラフマニノフの「鐘」に、時代と、世界への警鐘を感じました。




(※ラフマニノフの鐘で描かれた「鐘」は火災、天災等を知らせる警鐘といわれています)


今シーズン、宮原選手の「シンドラーのリスト」が披露された際、 

当初着用されていた衣装について上がっていた、様々な意見を拝見しました。


海外の方のご意見の中と記憶していますが

「白ばら」ではどうか、、?という言葉がありました。


「白バラ」とは、当時政権に反対し粛清された、ドイツの学生を中心とした活動グループで、

活動していた女子大学生・ゾフィ・ショルは映画化され、

「白バラの祈り」という邦題で、日本でも公開されています。


映画「白バラの祈り」トレーラー



  
様々な国、異なる立ち位置からこのテーマに取り組まれている事…

それぞれの演技に接する度に、深く考え、知る事が沢山あります。


忘れてはいけない歴史、

考え続けなければいけない事、

願い続けなければいけない平和、

繋いでいく未来…。


この曲、このテーマに取り組まれている方々の
「覚悟」に深く敬意を持っています。。





「シンドラーのリスト」を選曲するということ・
その考察は、

次回へと続きます。


     to be continued…