ロザムンドの死の迷宮ISBN:978-4-488-22205-5
創元推理文庫(1533円)
創元推理文庫(1533円)
(内容紹介)
ケンブリッジを震撼させた連続殺人は過去のこと。わが子アリーや召使いのマンスールたちと平穏に暮らしていた女医アデリアは、アリーの父ロウリー司教に呼び出される。迷路に囲まれた塔の中で、国王ヘンリー二世の愛妾ロザムンドが毒を盛られたのだ。最大の容疑者である王妃エレアノールは雲隠れしており、このままでは国全体を巻きこむ戦乱が起きてしまう。アデリアはその検死の技と推理で真相をつかみ、戦を阻止できるのか。出色の中世歴史ミステリ第二弾。
(感想)
イギリスプランタジネット朝の実質的創始者ヘンリー2世の時代が生き生きと描かれていて、引き込まれました。内戦を終結し、ローマ教会との対立・フランスとイギリスの関係など教科書ではさらっと流されていたことがよくわかりました。
12世紀当時のヨーロッパの生活や医学水準を忠実に踏襲して展開する謎解き。
主人公は、当時の常識を越えた存在としての女医(現在の法医学者)アデリア。
ですが、女性の社会進出が認められていなかった当時のキリスト教社会との折り合いをつけながら、活動します。
また、愛する人が聖職者、自分は医者と二人の職業人としての活動が犠牲になることを拒み、結婚しませんでした。でも、二人の間にはかわいい女の子が生まれます。彼女の誕生によって、医師としての使命に加え、母としての使命に悩むアデリア。彼女の事件を通してふれあった人々との出会いで、医師として母としての成長していく姿に心打たれました。
骨太な歴史ミステリを読みたい方、イギリス史(プランタジネット朝の初期)を教科書では物足りなかった人には、特にお勧めです。