前回は中国の状況を中心に説明しました。
サバクトビバッタの大繁殖によるアフリカからアジアへの蝗害も深刻です。
まずは東アフリカのケニア・ソマリア・エチオピアでサバクトビバッタが大繁殖し、これらの国に大損害を与えました。
ケニアでは農地7万ヘクタールがやられ、ソマリアでは家畜用の牧草の大半がバッタに食べ尽くされています。
エチオピアでは国内で生産する穀物の40%がバッタに食べられてしまいました。
この3か国はそんなに海外からの購買力を持たない国です。
バッタによってこの地域だけでも
1300万人もの人が深刻な食料不足に苦しんでいます。
幅が40km、長さが60km、神奈川県程の面積のバッタの集団が農地を食べ尽くしていくのですから、ヘリコプターで農薬をまいたところでほとんど効果はありません。
本来、乾燥地帯だったところに異常気象でまとまった雨が降った結果、バッタのエサとなる雑草が急に生い茂りエサを得たバッタが猛繁殖をしたことによって大群になってしまいました。
そのバッタの大集団がアラビア半島に進み、アジア大陸を東に進みます。
既にパキスタンも大きな被害を受けて、サバクトビバッタの大集団はインドに進出しネパールにまで及んでいます。
バッタの大群はアフリカやアジアだけではなく南米でも同様の動きを見せています。
発生源はパラグアイと見られていますが、
アルゼンチンがすでに蝗害に見舞われ、
ブラジルやウルグアイにまで広がるのではないかと恐れられています。
このように毎年のように大規模化し頻発する異常気象により、水害や干ばつ、蝗害が世界中で起こっていますから生産できる食料は減少していく傾向にあるのは間違いないでしょう。
それに対して世界の人口は増え続けています。
人口増加のペースは減少傾向にあるものの、
現在の77億人から2050年には97億人
になると予想されています。
日本の食料自給率は現在40%足らず
しかありません。
先進国各国と比較しても極めて自給率が低いのが我が国日本なのです。
「別に食料自給率が低くても、
他国からお金を払って食料を買えば
いいじゃない!」
このように思われる読者さんも多いと思います。
私もつい最近まで同じ考えでした。
しかし、日本に住んでいても異常気象は目の当たりにするし、世界では日本よりはるかに大きな天災が続いているのです。
どんなに食料生産が豊かな国でも、自国の食料が不足すれば、いくらお金を払うと言っても中々食料を売ってくれなくなるでしょう。
海外にいくら食料を高く売ったところで自国の国民が飢えていれば、国民の不満は増します。
当たり前のことです。
国民の不満が増大すると、その国の政治家は選挙で勝てなくなります。
だから政治家はどんなに高く食料が売れるとしても、自国の国民のためには食料を確保しなければなりません。(中国や北朝鮮のような選挙のない国は別です)
あけすけに言いますが、飢える人というのは豊かな人ではない、しかし選挙はどんなお金持ち(少数)も、豊かではない人たち(大多数)も公平に「1人に1票」なのです。
だから今までは食料自給率が低くても特段困ることは無かった我が国日本ですが、
これから先は困ることになる可能性があるわけです。
そうしたことを考えて、日本の今後の農業を考える必要があると私は思ってます。