
雨。と予想された天気予報も見事に外れ、程々に良い空模様。10分程前は制服を着たよく喋る女学生や通勤途中の疲れた顔のおっさんと乗っていた普通列車。「旅行気分もあったもんじゃない」とスマホでモンスターを弾きながら現実と非現実の境をさ迷っていた自分。

乗り換えた「特急つがる」の空席ぶりとこの縦列びの座席を見て、ようやく現実と言うしがらみから解き放たれた。以前は「寝台特急あけぼの」で青森まで直通。始発で函館へ向かう自分は最寄りの駅から即非現実の世界へ飛び込めたのだが、時代の流れには逆らえなかったか、羽越~奥羽本線の夜が明ける事はなくなった。それでも新相棒のつがると共に新たな旅の歴史を作って行く。

昨晩は新しいボジョレーで胃を真っ赤に満たし、暴飲でカラカラになった喉を今朝は一番搾りプレミアムで一気に潤す。これぞ旅の醍醐味と思っている自分は腐れなのかと少し卑下してみるが、そんな思いとは裏腹に右手が勝手にワンウェイボトルを口に運ぶ。瓶を見ると秋田県大雄産ホップ「カイコガネ」使用、と書かれている。秋田県産の素材を使った飲み物を飲める幸せをハッピーなあいつと噛みしめる。移動は車が当たり前の車天国秋田県、当然運転手は自分。朝から飲める事なんてほぼなく、朝から遠慮なく飲める電車の旅はやっぱり最高だ。と、更に保冷バックから一本取り出して邪魔なスマホを閉じた。