フレイムコード(牝6)
父タヤスツヨシ(サンデーサイレンス系)
母シマノラピス
母父オペラハウス(サドラーズウェルズ系)





楽音の高低変化がリズムと連結され,一つの音楽的なまとまりとして形成される音の流れ……

勝利、大敗のリズムを刻みながら、今競争馬人生のクライマックスを迎えようとしているフレイムコード。雨をはねのけ、淀のターフに炎の旋律を描けるのか。



フレイムコードの父タヤスツヨシはサンデーサイレンス産駒初のダービー馬。その後伸び悩んだ事から「サンデーサイレンス産駒は早熟だ」との噂を呼んだ張本人。そんな事はなかったのだが。種馬になってからは競争成績と比べると物足りない産駒ばかり。母方のスタミナの血が出てしまったのだろうか、芝では斬れず、マンオブパーサーやナスダックパワー、ビービートルネード等ダートでの活躍馬が多かった。シャトル種牡馬になってオーストラリアとマレーシアでは芝のG1勝馬を輩出した。

母の父はテイエムオペラオーやメイショウサムソンを輩出し、日本に輸入したサドラーズウェルズ系としては大成功を収めたオペラハウス。上記2頭の様な極一部の一流馬は斬れたが、基本パワーと持続力で押すタイプ。最後の踏ん張り比べに強く、欧州芝タイプの種牡馬だがダートの活躍馬も少なくない。

だからフレイムコードは今流行りのディープインパクト産駒とは真逆の、パワー&持続力で勝負するタイプと言える。



フレイムコードは苦労人である。デビュー戦で勝利を挙げたが、クラシックには間に合わず下級条件を地道に勝ち上がってきた。前目のポジションを取れる脚はあるのだが、直線での脚がじりっぽく伸びきれない。京都の実績は悪くないが(1404)、デビュー勝ち以外は中京、新潟、福島、函館とすべてローカル。逆にこれだけ複数の競馬場で勝利を挙げるのも凄いことだが。

5歳になり冬にようやく重賞挑戦のチャンスが回ってきた。中京で行われた愛知杯(中京2000m)。大外枠から果敢に先行したが12着と大敗。その時点では1600万下すら勝ち上がれない実力しかなかったから致し方のない事なのだが、ハンデ50㎏と裸同然の斤量だっただけに重賞クラスの壁を感じる結果となった。

今年になり1600万下で好走を続けるも勝ちきれずにいた。それでも再度重賞に挑戦、中山牝馬S(中山1800m)。抜群のスタートから好位に取り付きレースを進める。4コーナーを迎える時には内の3番手と絶好位にいたが前が開かずに追い出しが遅れてしまう。もともと速い脚がないフレイムコードにとって踏み遅れは致命傷。速い脚がないから馬群を抜けられないのもあるが。13着と再度二桁着順、そこで休養に入った。

7月の暑い日にフレイムコードは復帰。復帰戦には五稜郭S(函館2000m)が選ばれた。抜群のスタートから3番手に控え、4コーナーで先頭に並び掛けると力強く抜け出し、一気に突き放した。今まで勝ち上がれなかったのが嘘のような快勝劇だった。その勢いのまま三度目の重賞挑戦にはクイーンS(札幌1800m)が選ばれた。今回は2番手につけたが五稜郭Sの様な末脚が見られず、逃げたノットフォーマルすら捕まえられずに5着。重賞で掲示板に載ったとは言え10頭中5着なのだから手放しでは喜べない結果となった。その後陣営はダートを試す。エルムS(札幌D1700m)に登録した。血統的にはダートの鬼の可能性もあり、6歳になって初のダートと言うのも少し意外、もっと早く試してもよかった。しかし結果はビリ。初ダートで砂を被りやすい最内だったのも運がなかったが、3コーナーでペースが上がるとズルズルと後退。全く適性すら砂の猛者達には測らさせて貰えなかった。

エルムSの大敗後は少し間隔を空け、今度は王道、府中牝馬S(東京1800m)に出走。本レースはエリザベス女王杯、マイルCの叩き台に丁度よく、レベルの高い出走馬が集まるレース。実力馬が集まった上にエルムSの大敗もありビリ人気、単勝160倍超。全く誰も期待してない中で強いパフォーマンスを見せる。いつも通り2番手につけると直線でも粘る。粘りに粘って4着。カフェブリリアントやスマートレイアーと頭+首の4着だけに価値が高い。稍重の馬場を他馬が気にしたことや馬体が五稜郭S位までに絞れた事もあるだろうが、春まではハンデ戦斤量50㎏ですら歯が立たなかった重賞で、別定戦で他馬と同斤量を背負ってここまで粘れたのは凄い成長だ。母父オペラハウス、母母父ギャロップダイナの成長力だろう。晩成の血がここで花開いてきた。



エリザベス女王杯は軽い芝の京都で行われるG1競争だけに斬れ味や瞬発力を要求される。フレイムコードに適性があるとは自分も思えない。しかし先週のどしゃ降り、今週末も雨予報で京都コースはかなり馬場が渋っていると思われる。斬れ味<泥臭さとなればフレイムコードに分がある。立ち回りが上手く、経済コースを通ってロスなく走れば実力の差は埋まる。他馬が伸びきれない中、フレイムコードがスイスイと音を奏でる様に走る姿が思い浮かぶ。