今年の秋、中山は時計のかかる、力がいる馬場で始まった。開幕週でも差しが届き、インで待機して直線外へ出した穴馬が穴馬券を演出。
しかし先週Cコースに替わったとたんに全くと言うほど差し届かなくなった。内は若干荒れているが馬場が軽くなったと言えるほど先行、好位勢しか馬券に絡まなくなった。恐らくこのまま行けばスプリンターズSは例年通り先行決着の可能性が高い。
それでも敢えて言おう、注目馬はフラアンジェリコだ!
フラアンジェリコ(牡7)
父ネオユニヴァース(サンデーサイレンス系)
母カーリーエンジェル
母父ジャッジアンジェルーチ(ボールドルーラー系)
フラアンジェリコは父ネオユニヴァース、母カーリーエンジェルの牡馬。兄姉に高松宮記念(中京1200m)を勝ったオレハマッテルゼやエガオヲミセテがいる。母カーリーエンジェルにクロフネをつけたエノクは当然の如くダートのスプリンター。スタミナ豊富なスペシャルウィークをつけたトリオンファーレですらマイラー。コテコテの短距離一族。母母がダイナカールでカーリーエンジェルはエアグルーヴの半妹。フラアンジェリコは泥臭いイメージしかないが良血だ。
フラアンジェリコの競争馬人生(馬生?)は苦難の連続だった。芝で勝てずダートで走り、ダートで頭打ちになって芝に戻り、芝でも先行して勝てなくなり脚質転換。そうして差したり先行したりの繰り返しで6歳、昨年秋に五稜郭S(函館1800m)で1600万をようやく卒業したフラアンジェリコ。
陣営もここで一か八か勝負に出たのか、いきなり大幅な距離延長、丹頂S(札幌2600m)に出走。素人の私が予想できた様に、当然の如くズルズルと下がり惨敗。
そのあと福島記念(福島2000m)で2着するも再度勝てないループに突入。7歳になって今年の夏、七夕賞(福島2000m)で戦列に復帰し、ファンも微妙に期待したのか休み明けでも7番人気で出走。後方から微妙に差を詰めただけの11着。
競馬ファンは見限りも早い(笑)京成杯AH(中山1600m)は13番人気。ハンデも軽く53㎏、鞍上の田辺も人気がなかったから腹を括っていたのだろう。レースが始まると最後方待機。ケイティプライドが逃げ、人気のアルビアーノが2番手。1000m通過が58.7秒。この時の中山は力のいる馬場で、時計以上にキツいペースだったと思われる。フラアンジェリコは4コーナーに差し掛かっても最後方で未だにインで待機。直線に入りようやく外に出したフラアンジェリコ。普段の中山では絶対届かない位置。そこから上がり3F33.6秒。上がりの時計以上に鋭い末脚を繰り出し突き抜けた。
スプリンターズS出走にあたって、相手が強くなるのは勿論、ハンデ増、初の1200mと課題も多い。現実的な話では課題ばかりが目につくが、ロマンで言えば血統面では良いことばかり。半兄オレハマッテルゼが初の1200mでG1制覇したことや、G1を制する底力があるダイナカール一族であること。ノーザンテーストの血を引き、成長力があること。特にスピードが足りなくダートでお茶を濁し、瞬発力を身につけ芝の重賞を制するのはノーザンテースト産駒の十八番。
展開がハマったとは言え、あそこまで斬れる脚(33.6秒)を使ったのは初めてで体調も良いのだろうが本格化したのであろう。1200mになって更に斬れる可能性もある。ダートっ気の強い血脈で1200mでなし崩しに脚を使わされる可能性は低い。
溜めてどこまでのタイプで安定にはほど遠いが、追い込みの醍醐味を是非G1の舞台で味わいたい。