ゴールドシップ(牡5)
父ステイゴールド(サンデーサイレンス系)
母父メジロマックイーン(パーソロン系)




ゴールドシップの父ステイゴールドはかなり個性的な戦績を持った面白い馬。ステイゴールドは日本競馬に変革をもたらしたサンデーサイレンスを父に持つ。

母の父はディクタス(父サンタクス)。ディクタス自身はジャックルマロワ賞(ドーヴィル1600m)を勝っている。

ディクタスの代表産駒サッカーボーイはマイル~中距離で瞬発力を武器に活躍した名馬。しかしサッカーボーイが種馬になって出した仔はナリタトップロードやヒシミラクル、キョウトシチーの様なステイヤーやパワフルなダート馬ばかり。

それもそのはずで本来はスタミナ色濃いフランスの血統で、ディクタスが持っていた気性の激しさが短距離、マイル等での瞬発力につながっていた。

流れる血は本格派ステイヤーのそれで、母の父に入るとそのスタミナを産駒に伝える様に。

ステイゴールドは父サンデーサイレンスの激しさに母父ディクタスの激しさ、お互いの個性が常にぶつかり合っていたために、このような個性的な戦績になったのかもしれない。



ステイゴールドの初勝利は6戦目東京2400m。その時の2着はトップラダー。トップラダーはサンデーサイレンス×ディクタス。奇しくもステイゴールドと同配合。こんな偶然もディクタスのイタズラなのかも。

次走のすいれん賞(中京2500m)を勝ち、1走挟んで阿寒湖特別(札幌2000m)を勝つ。

そこから28連敗。28連敗もしたらとっくに引退レベルの負け数だが、

ダイヤモンドSで2着に入り、賞金加算してオープンに上がってから
G1(0426)、G2(0254)。G1で2着を4回も取れる実力がありながらG2では勝ちきれずむしろ着順を落とす。

希代の快速馬サイレンススズカを自ら捕まえにいって3/4馬身まで差を詰めた宝塚記念(阪神2200m)位走ればいつでも勝てるはずなのだが。こんなひねくれ小僧なかなかいない。

そんなヒネちゃん、ステイゴールドがようやく勝ち星をあげたのが阿寒湖特別から29戦目の目黒記念(東京2500m)。主戦の、というより戦友の熊沢Jから一度だけ乗った事があった武豊Jにスイッチ。

いつもは外に内にささって追えなくなるステイゴールド。その時のステイゴールドはステイゴールドじゃない、スーパーステイゴールドだったと皆に言われるくらい鋭く伸びた。

そしてゴール。その日は雨だったがG1並みの拍手喝采。東京競馬場は温かな雰囲気に包まれた。皆に祝福されたステイゴールド。皆に愛されたステイゴールド。熊沢Jには優しくないステイゴールド…

その後は勝てない普通のステイゴールドに戻ってしまったのだが、日経新春杯(京都2400m)を藤田Jの手で勝った後、ドバイへ遠征。

ドバイシーマクラシック(ナドアルシバ2400m)に出場し、ワールドチャンピオンのファンタスティックライト(父ラーイ)を差しきり優勝。

道中はインコース後方でジッと溜めて、ファンタスティックライトが早めに抜け出したのを追撃。伸び続けているファンタスティックライトを驚異的な末脚で撃破。この日もスーパーステイゴールドに変身していたに違いない。

勿論鞍上は武豊J。熊ちゃん可哀想すぎる。

ここで意外にも初めてサンデーサイレンス産駒の国外重賞制覇が成された。並外れた末脚、並外れた根性、ハートを持っていたステイゴールド。

日本に戻るとまたノーマルステイゴールドに戻り、勝てない日々が続いたがとうとう引退が決まり、ラストランは香港ヴァーズ(シャティン2400m)と決まった。

やはり鞍上は武豊。大外に入ったステイゴールドは無理せず後方待機で末脚を活かす作戦。

レース自体は淡々と流れていたが、デットーリ操るエクラール(父レッドランサム)が残り800mで2番手から一気にしかけ先頭。

4コーナー過ぎには4番手に辺りに浮上したステイゴールドだったが、先頭のエクラールとは約6馬身。絶望的な差がついていた。残り2頭を交わし、エクラールにどこまで迫れるか?という場面で内にもたれてしまった。

ステイゴールドが勝ちきれないのはこういった悪癖があるからなのだが、武豊がとっさに立て直すとそこからが圧巻。

鞍上の武豊が「羽が生えたようだった」と形容する末脚で瞬く間に追い付き差しきった。

今まで喧嘩し悪癖ばかり出していたサンデーサイレンスとディクタスの燃えるような気性が手を取り合い、「遠く離れた前の馬を捉える」のに必要な究極の瞬発力を引き出したのではないか。

デビューから50戦目にしてG1馬が誕生した。しかもそれが海外G1という、類い稀に見る瞬間だった。G12着の多さに「シルバーコレクター」と揶揄されたステイゴールドは最後の最後に汚名とも取れるニックネームを自らの末脚で払いのけてみせた。



ドラマチックで、大一番に強く、誰よりも速い脚を使い、誰よりも斜行する(笑)

そんなステイゴールドの血を引いたゴールドシップが世界最高峰のレースに今週末、挑む。