トゥザワールド(牡3)
父キングカメハメハ(キングマンボ系)
母父サンデーサイレンス(サンデーサイレンス系)
キングカメハメハ×サンデーサイレンスというよりエリザベス女王杯勝ち(京都2200m)、ドバイワールドカップ2着(ナド・アルシバD2000m)のトゥザヴィクトリー(父サンデーサイレンス)の息子と言った方が分かりやすいか。
母トゥザヴィクトリーはドバイワールドカップ初戦では一度しか経験のないダートで一世一代の逃げ。マイペースの様に見えても他馬の脚を使わせ、末脚を封じる速い逃げ。
そのケレン味のない逃げで後続がもがき苦しむ中、ただ1頭好位からキャプテンスティーヴ(父フライソーフリー)がジリジリと伸びてくる。残り200mで並ばれ交わされるが後続を封じて2着に大健闘。
ハイペースに強いアメリカのキャプテンスティーヴにはやられたが、サンデーサイレンス産駒が持っているここ一番の底力を世界に知らしめた一戦だった。
そんなパワーや持続力に秀でた優秀な母系にキングカメハメハを配合。キングカメハメハ産駒は芝の瞬発力勝負もこなせるパワー型の種牡馬で、芝は勿論ダートでも走れる血統的な下地は出来ている。
トゥザワールド・・・・「世界へ」。そう名付けられた牡馬は順調にその道を歩いていたが、春は日本の3歳勢の中でさえトップに立てなかった。
この秋、そしてこの先…トゥザワールドは世界へ向けて羽ばたく事は出来るのだろうか ?
デビュー戦は阪神1800m。トゥザワールドは血統背景等で圧倒的1番人気に推され、ゲートに入る。
凄い勢いでゲートから飛び出す。凄い行きぶりでパワーを感じる走りだが鞍上には従順で4番手に控える。逃げたのは4番人気のバンドワゴン(父ホワイトマズル)。
落ち着いた流れだが引っ掛かる素振りも見せず落ち着いてレースの波に乗る。
スローペースだった為、鞍上の川田が3コーナー過ぎでゴーサイン。少し順位を上げバンドワゴンを射程圏に入れ4コーナーを回る。
鞍上が追い出すと鋭く反応。しかし手応え程の斬れ味はなく、上がり34.1の末脚。逃げたバンドワゴンは上がり33.5秒で後続との差を離していく。
結局、トゥザワールドは2着に上がるのが精一杯。逃げたバンドワゴンから6馬身も離され苦いデビュー戦となった。むしろ跳びが大きく、父ホワイトマズルなのに速い上がりを使えるバンドワゴンの方が大物に見えた位。
2走目は京都1800m。少頭数で8頭立て。
兎に角ゲートが速く、二の脚も速い。そしてお利口。どんなペースでも折り合う。今回も5番手で折り合い、直線抜け出す。この馬より速い脚を使う馬がおらず完勝。
後に京都新聞杯を勝つハギノハイブリット(父タニノギムレット)もいたが距離が短いこともあり寄せ付けなかった。
その後は黄菊賞(京都1800m)→若駒S(京都2000m)→G2弥生賞(中山2000m)と同じような競馬で3連勝。前目につけ、自ら動いて前を捕まえに行く安定感抜群の競馬。多少斬れ味に欠けるところはあるがそれを補う先行力と賢さ。
「皐月賞を勝つのはこの馬だろう」と思わせるには充分な競馬振りだった。
そして皐月賞(中山2000m)の馬番確定。しかし不運な事に皐月賞ではフルゲートの17番枠を引いてしまった。皐月賞はペースが速くなりやすく、展開がハマりやすいという意味で八枠は好走馬が出ているが(鞍上が腹をくくりやすい)、
八枠はトゥザワールドの様に折り合いに心配がなく前につける脚があるタイプにとっては、内に切り込む為に16頭を交わす無駄な脚を使わねばならない非常に辛い枠。内枠なら無駄な脚を使わず好位を取れるだけに。
まだ強烈な決め脚でもあれば後ろから行っても良いが、溜めて斬れないから鞍上は動いて前を捕まえに行ってる訳で、(それだけではないが)鞍上の川田がどうするのか…馬券を買った方は非常に注目していたはずだ。
結果は先行。スタートから押して3番手を確保。ここまでくれば折り合いに心配のないトゥザワールド。3番手を追走し4コーナーに入る。
抜群の手応えで直線を向く。後ろが気になったのかゴーサインを出さずに溜めたその時、
直後からイスラボニータ(父フジキセキ)が一瞬の斬れ味でトゥザワールドに並びかけ、一気に鼻~首位前に出る。馬力では負けないトゥザワールドも中山の急坂で必死に抵抗するも坂を登りきると勢いのついた斬れるイスラボニータにアッサリ交わされた。
逃げたウインフルブルーム(父スペシャルウィーク)を交わして2着に上がったが、最初の1冠はイスラボニータに軍配が上がった。
さほど斬れない、前に行けて折り合いがつく、という特徴を持ったトゥザワールドにとって皐月賞は三冠の中でもベストの舞台だったろう。
17番枠・・直線の溜め・・競馬に「タラレバ」はないが、あと少し…あと少しの運がトゥザワールドには足りなかった。
皐月賞から約1か月後、3歳馬の頂点を決める東京優駿いわゆる「日本ダービー」(東京2400m)の日を迎えた。
毎年、この時期の東京コースは超がつくほどの高速馬場になりよほど斬れないと差し追い込みは厳しい馬場になる。
今年は逃げ馬ウインフルブルームが出走回避し、スローペースになりそうだった。しかも高速馬場で内有利。内枠で前にいないと話にならない。そのようなレース展開が予想された。
13番と外枠を引いた皐月賞馬イスラボニータと対照的にトゥザワールドは5番と最高の馬番。先行していつも通り34.0秒台の上がりでまとめれば確実に勝ち負けになる。ツキがなかった皐月賞のリベンジの用意は整った。後は2番を引いた差し追い込み馬皐月賞4着のワンアンドオンリー(父ハーツクライ)がどう出てくるか。
そしてゲートがきられた。いつもスタートダッシュするトゥザワールドの出足がつかない。最高の舞台が整ったのだが何故か前に進まない・・・・
ゴール前は外枠から先行し2番手を進んだイスラボニータと終始インコースの5番手で脚を溜めていたワンアンドオンリーの争いになり、当然スローペースになればインで脚を溜めてた馬が有利。ワンアンドオンリーの優勝となった。
トゥザワールドはと言うと外から上がり34.1秒の末脚で猛然と追い込むも5着まで。能力は高いが溜めても斬れない弱点が重くのしかかる。
陣営が言うにはダービー当日は夏のように暑く、馬が参ってしまった。それで行き脚がつかなかったと言っている。ここでは天気の神様にそっぽを向かれ、全力を出し切れなかった。
先行出来ていれば…
運も実力の内なんて言うが、高く評価されつつも3歳時にG1を勝てなかった母トゥザヴィクトリー。母と同じ様な道を歩んでいるトゥザワールド。母と同じく晩成型なのか?それとも血の呪縛なのか…
これから世界へ羽ばたく為にも今秋はなんとかG1の称号が欲しい。ただ菊花賞…というタイプではないので、天皇賞秋(東京2000m)→マイルC(京都1600m)辺りでなんとか頑張って欲しい。