AZOOR(急性帯状潜在性網膜外層症) | 難治性眼科疾患の知識を分かりやすく勉強し、安心できるブログ【阿部鍼灸院】

難治性眼科疾患の知識を分かりやすく勉強し、安心できるブログ【阿部鍼灸院】

当院は埼玉県川越市にある鍼灸院です。10年以上前に愛知の一宮にある眼科疾患専門針灸院「千秋針灸院」さんに提携治療院にして頂き、主に東京・埼玉県内の患者さんの紹介を受けています。眼科疾患の学習を、折角なら皆さんと共有しようとブログにしました。

 

 「アズール」AZOOR(急性帯状潜在性網膜外層症)とは?

「AZOOR(急性帯状潜在性網膜外層症)」(以下AZOOR)とは、

1992年にGassが提唱した疾患概念であり、

現在は原因不明の網膜疾患です。

 

若年女性に多く(70%前後が女性)、

光視症(通常、まぶしくない時でもまぶしく感じる)を伴い、

急激な視力低下(発症部位にもよる)、

視野欠損を発症する、

網膜外層に障害が生じる疾患です。

 

眼科では「光干渉断層計(OCT)」の検査で診断されます。

 

※「網膜」は眼球壁の最内層にあり10層構造になっている。

働きとしては主に光を感じる部分。

網膜の外側に脈絡膜、更に外に強膜がある。

※※視神経炎(特に球後視神経炎)が鑑別疾患。

 

・また、片目に発症することが多いが

稀に両目に出ることもある。

 

・眼底検査では異常がない場合がほとんど。

 

・OCTにて、視野欠損部位と一致した網膜外層の

異常がみられるか、もしくは

ERG(網膜電図)にて振幅低下がみられる。

 

※ERG(網膜電図)は、光刺激による網膜(視細胞・ニューロンの活動)の

活動を調べる検査。

 

・発症前に風邪のような症状になる人もいる。

 

・矯正視力がどちらも左右片目0.3以下になると

重症。

 

 

 

 AZOORの症状と合併症

・主な症状として急激な

「視野欠損」と、

発症部位により「視力低下」がある。

 

・上記にも書いた「光視症(光がチカチカして眩しい)」

は70~80%の人に出現する。

(段々軽減する人や長期に持続する場合がある)

 

・30%前後で自己免疫疾患を併発する。

橋本病や多発性硬化症など。

 

・原因は不明

(ウイルス説、自己免疫説、遺伝的要素説あり)

 

 

 

 所見

・発症時視力が1.0以上保たれてる人が45%いる一方、

0.2以下になる人も25%前後いる。

また、発症する人の約80%が元々が近視。

 

・視野欠損はほぼ全員にみられる。

特にマリオット盲点に視野欠損が

起き、マリオット盲点の拡大が起きる場合が

最も多い(約70%)。

それに加え起きる中心暗点や、

輪状暗点、周辺視野欠損など

様々な視野欠損が症状としてある。

 

・長期経過後、稀に眼底検査で

網膜絡膜萎縮、網膜血管の白鞘化、

黄斑浮腫がみられる。

(約50%は長期経過後も眼底は正常)

 

・OCT(眼底検査)では、「IS/OSライン(視細胞内節/外節ライン又はellipsoid zone)」が欠損か不明瞭で、

「COSTライン(錐体外節先端ライン又はinterdigitation zone)」が消失している場合が多い。

回復期や軽症の人は

「IS/OSラインはほぼ正常、COSTラインのみ異常がみられる」

上記所見は、半年以内に回復することも多い。

(稀におきる外顆粒層の菲薄化した場合は難治)

 

 

 

 経過と予後

・発症後半年で約80%が症状固定、

約20%がゆっくりと改善傾向。

 

・欧米人より日本人の方が回復率が高い。

 

・球後視神経炎に似た症状だが、球後視神経炎は

眼球運動痛を伴う場合がおおいので、

その辺でも判断できる。

 

 

 

 西洋医学的治療

現在はAZOORの治療法は

確立されていない。

※ステロイドの点滴や投薬もあるが、

効果がまだはっきりしていない。

 

 

 

 鍼灸治療

想定する使用穴は

 

「天柱」「下天柱」「風池」「玉枕」「耳点1番」

「脳神経点2番」「目点」「肩中兪」「肩井」

「大腸兪」「腎兪」「志室」「脾兪」「肝兪」

「太衝」「太谿」「三陰交」「懸鐘」「陽輔」

「光明」「合谷」「曲池」「攅竹」「太陽」

「球後」「承泣」「晴明」「健明」「魚腰」

などから、適宜使用。

治療初期3か月間は週2回以上の治療が望ましい。

 

 

※「耳点1番」「脳神経点2番」「目点」は、

YNSA(山元式新頭針療法)の刺針点。