公募ガイド エッセイ新コーナー
第一回 応募作品
課題 《比喩の効用を考え、これを効果的に駆使したエッセイ》 600字
関西人
あべせつ
「お前、朝飯ちゃんと食うて来たんか? そんな風呂の中で屁ぇこいたみたいな声では後ろまで聞こえんぞ」
関西では学校の先生からして、お笑い芸人のようにウケとオチを意識してしゃべる。
「〇〇君、大きな声で答えましょうね」などとストレートには言わない。
仮に言われたら、子供はきつく叱られたと思って、煮すぎたうどんのようにしおたれてしまうだろうと思う。
小さい内から叩き込まれて、日常会話は比喩だらけ、それが当たり前という環境の中へ、
ある日夫が関東から越してきた。生粋の東京人である夫は五年前、念願の自分の店を開いたのだが、当初は面食らってばかりいたらしい。
「四百円のものを、三百円にしろと言ってきかない客がいるんだよ。それなら赤字になるからと、いくら言っても納得してくれなくてさ」とハロウィンのカボチャのような顔をして私に愚痴る。
「ああ、そんなん、こんこんと説明したかてアカンわな。そんな客には『大将、堪忍して下さいな。そんなんやったら鼻血も出ませんわ』と泣いた恵比寿さんみたいな顔して言うたり」
「ええっ? 俺そんなこと出来ないよお」
とまあ、五年経った今でも夫は関西式ができないので、相変わらず自転車屋は自転車操業。ヘタな落語家のオチのようになっているのである。
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課題が難しすぎるのと、第一回目なので、どんな作品を4求めておられるかが
わかりません。とりあえず、思いついたまま自分の書きたいように書いてみました。
もし時間があれば、もう一本、今度は真面目な文章で書いてみたいと思います。