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絹弦の古琴

日本で古琴を習ってます

先日の琴会で先生が、

琴譜「西麓堂琴統」から打譜した

「隠徳」という曲を弾きました。

 

のどかな感じがする

ゆったりとした曲で

鳥のさえずりを伴った琴韻に

心洗われる思い

 

その動画を琴社のFacebookにアップしたところ

とある人から「曲は秋江夜泊ですか?」というコメントが

 

むむ、こはいかに。

Youtubeで「秋江夜泊」という琴曲を

探して聞いてみました。

「隠徳」と似ているような似ていないような……

 

琴曲には名前が別でも

そっくりな曲というのがあります

(名前が同じで別の曲もあります)。

査阜西の「存見古琴曲譜輯覧」には

琴曲の別名が調べられる表も載っているのですが

そこには「隠徳」と「秋江夜泊」は出てきません

 

というわけで、何でも知っている

上海の琴人、李祐心さんに尋ねてみました

 

李さん曰く

くもりくもりくもりくもりくもりくもりくもりくもりくもりくもりくもりくもりくもりくもり

西麓堂琴統の「隠徳」も

神奇秘譜の「隠徳」も

曲の構成が、後世の「秋江夜泊」と

よく似ています。

「秋江夜泊」が「隠徳」をもとに

できたという

専門家の論証はないけれど、

源流は大変近いと言えるでしょう。

古琴では、同じ曲に異なる名前が

つけられることは珍しくありません。

この曲について言うと

「杏庄太音続譜」では

「芻牧吟」という名前が

つけられています。

 

同じ曲で異なる名前が

つけられている場合、

弾く際に自分の理解で解釈して

いいのです。

後世の「秋江夜泊」では

音楽的により「具象」を帯びていて

櫓を漕ぐ、錨を下ろといった場面が

描かれています。

もし「隠徳」を字面の通り解釈

するならば

曲調はゆったりとして、緩急があり

「窮すれば則ち独り其の身を善くし

達すれば則ち兼ねて天下を善くす」

の意を表しています。

くもりくもりくもりくもりくもりくもりくもりくもりくもりくもりくもりくもりくもりくもり

 

なるほど。 

改めて「秋江夜泊」を聴いてみると

舟の揺らぎが表されているのが

とてもよく分かります

 

それにしても、ほとんど同じ曲を

「隠徳」であればそのように弾き

「秋江夜泊」であればまたそのように弾きとは

なんとゆるい世界……

しかし、このゆるさが古琴の神髄なんだと思います

 

弾く人に曲の解釈が任される

絶対的な線引きのない世界。

それが琴の魅力だと思います