明代初期という比較的早い時期に編まれた「神奇秘譜」。
琴曲「天風環珮」には、弦を押さえる左手が
左端までいって、また中心の方へ戻ってくる
という奏法が出てきます。
仙界への強いあこがれに満ちていた時代だけに、
これは一種の気功なのかなと……
左手を動かしながら、そんなことを考えます。
「玄館」の言葉の出典として登場した
詩人・高啓は、明の朱元璋の時代、
粛正の波に巻き込まれ、
腰斬の刑に処せられたそうです。
「神奇秘譜」を編纂した朱権は、その朱元璋の子供でした。
琴譜が生まれた時代は、大変な時代だったわけです。
「天風環珮」描く仙界の美しさは、
船底一枚、下は地獄の世の中だからこその
あこがれが生んだものなのかもしれません。
590年前の人の心境に思いをはせられるのが
古琴の魅力のひとつです。
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尋胡隠君 胡隠君を尋ぬ
高啓
渡水復渡水 水を渡り復た水を渡る
看花還看花 花を看 還た花を看る
春風江上路 春風江上の路
不覚到君家 覚えず君の家に到る
