普段、ハチのお風呂は夫にお願いしているのだけれど、夫の帰りが遅い日は私が入れる。
先日久々に入れたところ、ハチの『水面をバシャバシャ叩いて水しぶきを上げる技』が随分グレードアップしていた。
前に私がお風呂に入れた時よりもかなり上手に水面を叩く。
しかも、両手で叩くだけでなく、日舞のような手の動きをしてお湯をゆっくりかき回したり、かと思えば急に激しくしぶきを上げたり。
水中拳法の様だ。(そんなのあるのか知らないけれど。)
私が湯船に体育座りして、ハチの両脇に私の手を入れて向かい合うように太もも辺りに座らせる方法でいつも入浴しているのだが、ハチが水中拳法でしぶきを上げると、もちろん私の顔にお湯がかかる。
ハチの顔にもかかる。
どうやらそれが気になるらしく、バシャバシャしながら、その隙間隙間に一生懸命顔の水滴をぬぐっている。
そんなに気になるならやらなきゃいいのに・・・と思うところだが、赤ちゃんだから仕方ないのだろう。
ハチの入浴が終わったらバスタオルくるんで、浴室の外に準備してあるcombiのお風呂用のイスに座らせ、ドアを開けたまま、今度は私が全身を洗う。
シャンプーする間もハチをずっと見ているが、大抵ハチも私をずっと見ている。
普段こんなに見つめ合うことはないのでちょっとドキドキする。
タオルでくるまれながら澄んだ瞳で前をジッと見据えているハチは何だか神々しくも見える。
タオルから出た手をイスのハンドル部分にかけ、時にその手を振りかざして、「あー」と声を出したりもする。
まるで、神の教示のように。
「すみません、今、出ます。」
すっかりハチの信者のようになってしまっている私は慌てて浴室から出て、猛スピードでパジャマを着る。
「スミマセンが、化粧水だけ塗らせてください。でないと、おかあの顔はカピカピになってしまうんです。」
ハチに断りを入れながらバシャバシャと化粧水を顔にかける。
リビングに戻り、体を拭いてクリームを塗り、オムツ一丁になったハチは、ようやく普通の赤ちゃんに戻る。
普通の赤ちゃんでも、やっぱり私には可愛くて尊い存在のままだ。