雨月物語 | mimiの独り言

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先日何気なくテレビをつけたら「雨月物語」の映画を放映していました。後半を少し見たので、全部見たいと思いDVDを借りました。

「雨月物語」は江戸時代後期に上田秋成によって書かれた読本、9篇の怪異小説からなっています。
映画は溝口健二の監督、この物語の中から「浅茅の宿」「蛇性の淫」の2篇をもとにして作られました。

琵琶湖北岸に住む源十郎は農業の傍ら焼物を作って町で売っていました。長浜が羽柴秀吉の軍勢に占領されて賑わっていたので、源十郎は焼物をそこで売って大儲けしようとします。源十郎の義弟も侍になりたいと一緒に長浜に行きます。

市で焼物を買ってくれた若狭という美しい女の家に品物を届けに行った源十郎は、女の勧めでその家に滞在します。女は信長に滅ぼされた朽木氏の生き残りだと語りましたが実は死霊でした。ある日出合った神官から源十郎は顔に死相が出ているといわれ女が死霊であることを教えられます。

女と別れて自分の家に戻った源十郎は妻と夕食をとり一緒に眠るのですが、明け方の寒さで目を覚ますと家はあばら家で妻はいません。前夜会ったのは妻の亡霊なのでした。彼は妻が落ち武者に殺された事を知ります。

映画の最後は源十郎がどこからともなく聞こえてくる妻の声に励まされながら、焼物を焼いて遺された子供と暮らし、侍になりたかった義弟も心を改めて農業に取り組むところで終わります。

この映画はヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞しました。美しい死霊若狭を演じたのが、この映画より3年前「羅生門」で侍の妻真砂を演じた京マチ子でした。「羅生門」は黒澤明の監督作品、こちらはヴェネチア国際映画祭でグランプリを受賞しました。

昭和25年とか、28年とかいったら、敗戦後の日本が朝鮮戦争の特需で息を吹き返しつつあった頃でしたが、まだまだ貧しかったです。私は10代、華やかなことなどあまりない時代でしたから映画の受賞はずい分話題になりました。

当時私は映画館になど行きませんでしたので、映画を見たのはビデオやDVDが普及してからでした。

「羅生門」と「雨月物語」両者を比べると、見ごたえはやはり「羅生門」の方があるように思います。それは「羅生門」の原作芥川龍之介の「藪の中」が難解でいろいろな解釈が出来、それがずっしりした見ごたえになっているのでしょう。

「雨月物語」の怪異小説も凄みがあるのですが、映画の最後が改心した主人公のまっとうな暮らしで終わるので凄みは薄れたかも知れません。原作の「浅茅の宿」ではあばら家で目を覚まして妻の死を知るところで話は終わっています。

あの時代の映画ですから勿論モノクロ、それがいい雰囲気を出しています。霧の琵琶湖を船で渡るところ、美しい死霊の若狭が今様(?)、能(?私はよく分からないのですが)を舞うところ、妖しい美しさに満ちています。

女優の京マチ子は当時現代劇でも活躍していました。私は映画は見ていなくて映画雑誌の写真を見るくらいでしたが、どちらかというと洋風の容姿だったのに、こういう時代劇でもぴったりはまるので感心しました。

半世紀前の映画ですが非常に楽しめました。