故郷というと思い浮かぶのは「兎追いしかの山、小鮒釣りしかの川」と歌われるような山紫水明の地です。
でも私の故郷はそういう所ではありません。私は飲食店街で生まれ育ちました。
昭和10年代私の育った町には芸者さんを乗せた人力車が走り、三味線の流しが通りました。

昭和10年代私の育った町には芸者さんを乗せた人力車が走り、三味線の流しが通りました。

私の家のあった所には今はちょっといかがわしい建物が立っています。


向かい側にはしゃれたそば屋がありました。今は営業していません。


通りに交わる小路には以前は芸者さんの置屋や妾宅がありました。
今はバーやスナックがひしめいています。


今はバーやスナックがひしめいています。


人は年を取ると故郷がだんだん懐かしく思われるようになります。
こんな故郷でも、私はここに足を踏み入れると自分が生き生きしてくるのを感じます。

こんな故郷でも、私はここに足を踏み入れると自分が生き生きしてくるのを感じます。

私が独りで飲食店に入ることに躊躇いを感じないのは、こんな育ちのせいだと思います。