昨日、厚労省から
「妊婦の方々などに向けた新型コロナウイルス感染症対策」が発表されましたね。
ニュースサイトで
「妊婦の感染防止配慮を テレワークなど企業に要請 厚労省」
という見出しを見たときの期待感はすごいものでした![]()
やっと国が、高齢者や持病のある人と同様に、妊婦にも目を向けてくれたのか!という安堵感![]()
一体、どんな施策を考えてくれたのかしら??
… …
… …
… …
そして、記事を読んだ後の落胆、絶望!![]()
確かに現時点では、妊婦が重症化しやすいだとか、
胎児への感染や影響についての決定的なエビデンスはありません。
この件に関しては、及ばずながらこうやって
新型コロナウイルスと妊娠についての論文を読み漁り、
ブログで発信してる私も同意しますし、
おそらく産婦人科の先生方も、
新型コロナウイルスに関しては同じような情報・認識をお持ちかと思います。
でも重症化や胎児への影響の情報って、
あくまで『現時点で』なんですよね。
妊娠初期や中期に罹った妊婦さんの経過は
どうなのかはまだ不明ですし、
これまで、新型コロナウイルス陽性のお母さんから生まれても感染せず、
健康状態も良好だった赤ちゃんたちも、
今後の発育を長いスパンで見たときにどうなるかわからない。
そもそも、症例数が2桁と少なすぎて、
統計学的にも何も判断できないのが現状です。
どの論文も、まとめの項目では
『症例数も少ないし、今後注意深くフォローする必要がある、
さらなる報告が必要だ』と書いています。
さて、今回の厚労省の妊婦対策は、
大きく2つの問題を抱えていると思います。
一つは、政治における科学の使い方、
もう一つは、書類の作り方の問題です。
まず1つめ。
科学に基づいて政策を考えるのは、
平時ならばとても正しいことだと思います。
例えば、最近の事例だと風疹対策。
風疹のワクチン接種が不十分な層に対し、
妊婦の風疹感染が胎児に先天性異常をきたすことの注意喚起と
検査・接種費用の助成をしたことは素晴らしい政策でした。
ただそれは、あくまで風疹と妊娠について、
十分なデータが集まっているから。
先ほども書いたように、今回の新型コロナウイルスでは、まだ全然情報がありません。
いま手元にある楽観的なデータを根拠として、
妊婦の新型コロナウイルス対策を決定するのは
浅慮では無いでしょうか。
お医者さんを含む科学者は、いま手元にある報告からしか考察はできません。
ある意味、科学の限界です。
科学者は、データの下僕なんです。
でも政治家は、そこから自由になって良い存在です。
国民の安全や幸福を最優先するなら、
今あるデータに固執する必要は無いはずです。
科学的根拠なんかなくたって、
『妊婦は一律出勤停止!』とか、慎重に慎重を重ねた政策を決定できる立場にあるはずです。
いろんな立場の方からいろんな意見もあるでしょうが、
3月に実施された一斉休校は科学的根拠などなくても、
十分に身のある政策だったと個人的には思っています。
…ん?なんだか書いているうちに、
もしかして今回の厚労省の通達が残念なのは、
厚労省の職員が科学者や理系脳だからかも…と思えてきました![]()
厚労省にはぜひ『政治家』としての決断をしてほしいと思います。
そしてもうひとつ。書類の作り方です。
妊婦さん向けリーフレット、作るのは結構です。
少ないかもしれませんが、中には新型コロナウイルスに対する危機感が
薄い妊婦さんもいるかもしれません。
でも妊婦向けだけでなく、事業者宛のリーフレットも作って欲しかった!
経済団体や労働団体宛は作成されていますが、
それだけではダメです。
『事業者様へ
新型コロナウイルスが母体、胎児に及ぼす影響の報告は少なく、
現時点ではさまざまな健康上の懸念が排除しきれません。
妊婦からの申し出があった場合はテレワークや時短就労、
時差就労、休暇取得を適応してくださることを強く要請します。』
この通達を厚労省のサイトからプリントアウトしたうえで、
母子連絡カードにも主治医の先生から
『新型コロナウイルスの影響を鑑み、妊婦の健康状態を守るための対処をお願いします。』
とか書いて貰って、2つ一緒に
会社に提出するのはどうでしょう。
テレワークするか休むかとかは、その妊婦さんごとの判断で…。
そもそも、現時点でも母子連絡カードを事業主は無視できません。
結構な効力がある書類なので、未知の感染症流行時の項目を
その中に作ってしまっても良いのかもしれません。
今回の通達に関しては、厚労省が動くんだから、
大きな対策が取られるに違いないと期待してしまったが故の落胆でした![]()
でもある意味、国ができることの限界を見た気がします。
マスク2枚で新型コロナウイルスと戦ってください、って言われたということは、
暗に「もう私たちは国民を守れません」というメッセージなんじゃ無いでしょうか。
1人の大人として、そして母親として、自分で
何ができるか考える時かもしれません。
私は既に産休に入っているけど、もし今、
まだ会社に行っていたならどうしただろうと思います。
上司(幸いめっちゃ良い人)にお願いして、
会社の設備的にテレワークが無理でも、
有給扱いで良いから家で書類作成をさせて貰って、
飛び石的に出勤させて貰ったかな。
キリの良いところで早めに産休に入らせて貰ったかな。
車通勤させて貰ったかな。
旦那も電車通勤だから家庭内感染する可能性があるし、と開き直って通常どおり通勤してたかな。
国が何か言ってくれたら、職場に罪悪感無く、
自分が失うものもなく、自衛できるかもという
甘えが自分にもあったかもしれません。
妊婦様って言われても、つわりがしんどいとか多少ウソをついても、
大人の自己責任で、嫌われる覚悟で変則就労する勇気も大事なのかもしれません。
子供が生まれたら今度は、保育園から発熱だなんだのと連絡が来て、
会社から帰らないといけないだろうし、
清濁合わせ飲める、図太い肝っ玉母ちゃんになるための
少し早めの試練なのかもしれません。
繰り返しになりますが、
厚労省は一応、経済団体と労働団体に対し、
『職場における新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた妊娠中の女性労働者等への配慮についての要請』もしています。
今後、この要請がうまく機能することと、
妊婦さん自身も知恵を絞って、うまく活用することができると良いなと思います。
そして今回、せっかく通達を出したのだから、これをとっかかりにフィードバックを重ねて、
より実行力のある政策が講じられることを期待します。