それは携帯電話が鳴った時、偶然、六本木にいてしまったことに端を発する。

空はクレヨンで塗り固めたように青く、私の気持ちはもっとブルーになった。

 

「近くにいるの? じゃあ、来てよ」

 

呼び出された場所は、麻布十番。

確かに、大江戸線で繋がっているが近いというほどではない。

平日のど真ん中にランチの為に電車を乗らせるとは……。

 

「大人のデートって感じでいいじゃない」

あべ

「私は、こんな優等生が大人になったみたいなデートはしない」

「あべ氏って本当に薄情よね」

 

結果的に来た人間に薄情とはひどいものだ。

よかったな。私が冗談を理解する能力に長けていて。

 

あべ

「で、なんか悩んでるのか?」

「よくわかるね」

あべ

「言われなくても、黙って気づいてやるのが男の礼儀だからな」

「あらかっこいい」

あべ

「キミは大人ぶるくせに相変わらず嗜好が子供っぽいな」

 

 バックに大きな赤いリボンが付いてるのはいかがなのものだろうか。

 彼女は、逆にいいでしょう♪と見せつけてきた。もういいや。

 

「友達がね。厄介な恋愛しててね。どうにかしてあげたいのよ」

あべ

「その彼女、女性でいいんだよな。彼女が自分で決めたことなんだからキミが意見を言うのは大きなお世話なんじゃないのか?」

「やっぱ薄情ね」

あべ

「他人の生き方に干渉するのは、失礼なことだと思うだけだよ。でも、まっ、話くらいは聞こう」

「そうじゃなきゃあべ氏じゃないよ」

あべ

「冷静と情熱を兼ね備えた紳士、熱き氷のような男だろう?」

「あ、うん、そうだね……」

 

かわいそうな目で見るなよ。

泣いちゃうだろ。