先ずは、悠人さん、今回も句会とりまとめありがとうございました。
さて、選句ですが、、、
素晴らしい句が多すぎて迷う迷う!
並選としても10句なのに、その倍近くからなかなか絞れない![]()
そこで、基準をもうけることにしました。
募集要項で用意されていたテーマです。
(もちろん、それ以外の自由句でも投稿オッケーなのですが、、)
①上五「季語(名詞)」+「中七」「下五(動詞)+けり」
②上五と中七下五(ワンフレーズ)が、何も関係なさそうで、かすかな響き合いがある。
↑
このテーマに沿った句を優先して選ぶことにしました。
毎回の事ですが、これはあくまで私の感想です。
作者様の作意とは全く離れたものになっている場合もあろうかと思います。
どうかご了承くださいませm(_ _)m
新樹光娘は嫁して行きにけり
悠人さん
初夏の明るい日差し《新樹光》が、祝福の光に思えました。
みづすましガム買ふかねのなかりけり
ウロさん
子供の頃の思い出でしょうか。
「みづすまし」「ガム買ふかねのなかりけり」というふたつのフレーズ。
とても響き合っていると思います。
「かね」を「銭」や「金」にしなかったところも、子供らしい純真さと切なさを表現しているように感じます。
単にノスタルジーというものよりも、裕福ではなかった時代背景を感じました。
しかし、物質的に貧しかった時代、現代には無い豊かなものがあったのかもしれません。
夏蝶に未遂の空のありにけり
まるちゃん
厳密に言うと今回の「型」に沿っていないのかもしれませんが、一目惚れした句です。
「未遂の空」ってどんな空!?
どことなく危うい雰囲気や緊張感があってインパクト大!
これも、やはり「春の蝶」や「秋蝶」ではなく「夏蝶」だからこそなのでは?
「夏蝶」と「未遂の空」
”二物衝撃”の効果とはこういうことか、と納得させられた句です。
鍋底の焦げを落とせり青葉木菟
重太郎さん
これもテーマ以外の句です。
鍋底の黒い焦げを落としている。
時間はたぶん、夜。
ごしごしと鍋をこする音と、ホウホウという青葉木菟の声。。。
ふたつの音が重なって夜の闇にとけていくような。
これも一目惚れした句です。
花は葉に母校統合なりにけり
けいやんさん
思わず(うまい!!)と唸った句。
「葉桜」という季語もありますが、これは「花は葉に」という季語。
花(桜)が散り、葉が茂ってきた頃の季語です。
「花は葉に」という言葉(季語)には、咲いていた頃の桜の華やかさを強く思い出す気持ち、そんな語感がある気がします。
そこで、一見関連がないような「母校統合なりにけり」が強く印象づけられていると思いました。
俳句という17音の短い詩の中に、一編の物語(ドラマ)を見せていただきました。
クレマチス誰かの鍵を拾ひけり
悠人さん
これも、「クレマチス」「誰かの鍵を拾ひけり」の二句一章(取り合わせ、二物衝撃)の句です。
「鍵」が、「何かの」ではなく「誰かの」鍵であるところがいいと感じました。
クレマチスは、青紫、白、ピンクなどいくつかの色がありますが、ここは青紫色をイメージしました。
人恋しさと真逆の人疎ましさ(?)が入り交じったような複雑な感情を、俯瞰視しているような。
ドライとウェット。
矛盾のバランスを感じました。
麦の秋風見は南差しにけり
痺麻人さん
とても気持ちのよい句だと思いました。
地面には黄金色の麦畑が広がっています。
空には風見鶏(風見)があり、南を差しています。
暖かい風が乾いた麦の穂を揺らしている、カサカサ、ザザザという音まで聞こえてくるような気がしました。
若葉風木漏れ日踏みて登りけり
ねこじゃらしさん
「若葉風」からの「木漏れ日踏みて」は、流れができているような感じがして、今回のテーマからいうと少し外れているのかな、、?
しかし、それは置いといて、、、(^^;
光景だけでなく空気感(温度や匂い)までが、まっすぐに伝わってきた句です。
声に出して読んだときの、音の流れも自然で、この句の雰囲気に合っているような気がします。
ラッパ吹き蚕寝返り打ちにけり
笑い仮面さん
面白い句!
これも「取り合わせ」「二物衝撃」の句。
「ラッパ吹き」と「蚕」
インパクト大です。
しかも「蚕」が寝返りを打っている。。。
たらふく桑の葉を食べてころころ太った蚕が寝返りを打つ様ってどんなだろう?
どこかヨーロッパ的な空気を感じるのは「ラッパ吹き」から「ハーメルンの笛吹き男」を連想したからかな。
そういえばどこか寓話的なイメージもあります。
風薫る今朝も靴ひも結びけり
こぶこさん
これも上五の「風薫る」と中七下五の「今朝も靴ひも結びけり」の取り合わせの句です。
関係が無いようで、しっかりと響き合っていると感じました。
五月の爽やかな朝が表現されていると思います。
どこかへ出かけたくなります。
以上、並選十句の感想でした。
さて、次選句です。
松の芯ぐいぐい囃すバスドラム
湯来玉さん
これも「選」としていた句ですが、テーマ優先としたのでやむなく次選とした句です。
「松の芯」には強い生命力を感じます。
「ぐいぐい囃すバスドラム」
このフレーズがとてもよく効いていると思います。
とても個性的なフレーズで、非凡さを感じました。
水中花ナースコールに揺れにけり
さるぼぼさん
これも最後まで”選”として頂きたかった句。
入院された体験でしょうか?
それとも水中花が置かれた病室を見舞ったのか。。。
いずれにしても、このリアリティにヤラレました!
水の中の花、病室の自分、、、
ナースコールで揺れているのは”水中花”とありますが、きっと本人の”精神的な揺れ”=”不安”を重ねて表現しているのでしょう。
すばらしい表現力だと思います。
マリンバの野外ステージ夏兆す
すなみさん
マリンバの音、大好きです!
「マリンバ」「野外ステージ」
夏が始まる予感にウキウキします♪
文字が目に入ったとたんに夏を感じさせてくれる一句です。
「マリンバ」「ステージ」というカタカナの効果でしょうか、
脳に届くのが早いです。
蟻ひとつ投身自殺を思ひけり
ウロさん
「蟻」を「一匹」ではなく「ひとつ」と表しています。
どういうことでしょうか?
そして「投身自殺」を思う作者。
数多いる蟻の中の一匹(ひとつ)
人間なら大勢の中の一人(ひとつ)
そんなところを重ねているのでしょうか。
遣る瀬なさや行き場の無い思いなどを感じました。
印象深い句です。
黒日傘日暮れの匂ひ畳みけり
まるちゃん
これも”選”から外せなかった句ですが、やはりテーマ優先としたことでやむなく次選とした句。
真昼ではなく「日暮れ」としたところで「匂ひ」が生きていると感じました。
どことなく京都のような城下町の、暑いながらも風情ある夏をイメージしました。
カーネーション聖火のやうに持ちゆけり
さるぼぼさん
とても素敵な句だと思いました。
カーネーション=母の日
聖火のやうに=母への想い
素晴らしい比喩力!
テーマに沿って、という基準を設けていなければ、迷わず選とした句です。
以上、私の選句、次選句の感想でした。
後から作者さんが分かって、納得だったり意外だったり…!
面白いです。
ではまた〜
