母は胎内の袋に子を宿し、約10月10日が経つと出産を

迎える、この過程を母は胎内機能に委ねる以外は、見守るし

か方途がない、産婆と相談をしお産を迎える。

 

 母の胎内機能は完璧だったお産後は母の育児が始まる。

 

 肉体的な胎内機能に感謝した母は、産まれた直後の晃一の

顔を眺め、育児の基本は笑顔の語り掛けと思った。

 

(…ああっ、目の前にいるのがワシの母やんや、ワシにはよ

うに解るわだ、母やんの笑顔は綺麗けん…)

 

 晃一は人生の有終の美を飾り母の胎内に帰ると決めた。

 

 人類の歴史は約7百万年前に、チンパンジーに別れを告げ

独自の道を歩み始め、今日に至り進化の途上にある。

 

(…あの、チンパンジーと、別れたん随分と昔なんや…)

 

 男女別個(精子と卵子)の単細胞の生物が結合し受精(妊

娠)作用から細胞分裂を繰り返し胎児に成長した。

 

 哺乳動物とし人間も出産に備える重要な期間、10月10

日の胎児期は、人間的な生命の成育形成に必要な基本機能を

備える体の骨格形成期間とされ、人体の基礎機能の部分が短

期間に進化し形ち作られる、最も重要な成長期とされ性別や

個性なども、この期間に形成される。

 

(…ほな、ワシが人間の形を整えたんは、あの母やんのお腹

の中にいた、10月10日の期間やったんか…)

 

 人間は生物学上の学説からは、ほ乳類サル目ヒト科ヒト属

ホモサピエンスとされ、動物分類上の理性的な学名がある。

 

           ー199ー