まだ晃一は美保子の求めに応じ目を閉じたままだった。

 

「あのね、あの美保子ね、晃一さんと逢いたかった」

「あのワシも、稲垣さんと逢いたかったけん」

 

「あの美保子ね、もう晃一さんと逢えないと思ったわよ」

「ほんな?もう何を言うんじゃ?」

 

 晃一は美保子の言葉に不安が頭を過った。

 

「けど美保子ね、晃一さんと必ず逢えると信じたのよ」

「もう、来るの遅うなった、ご免な稲垣さん」

 

 晃一は美保子を苦しめたと思い目頭に涙が滲んだ。

 

「もう、美保子は病気やし、晃一さんに迷惑掛けると思った」

「ほんなん、ワシかんまんけん」

 

「けどね、晃一さんを忘れる事が出来なかった」

「もう、ほんな事言うなよ稲垣さん」

 

 待ち望んだ日を迎え涙声の美保子だった。

 

「あの美保子ね、もう後悔はしないと決めたからね」

「なあ、稲垣さんワシ来るん遅かったご免な」

 

 晃一は刺激的なキスの甘い味に心は動揺したが、身体は悦び躍

動感し踊り、全身にドット汗が噴き出した。

 

「ねえ晃一さん、あの美保子をシッカリ抱キ締メテネ」

「ほな?こうか?稲垣さん?」

 

 鼓動の高鳴りを押さえた晃一は美保子の背中に両手を回した。

 

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