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福島県・飯舘村視察レポートの2回目は、除染と廃棄物等処理施設などについて。

 

原発事故による影響が大きかった福島県内の11市町では、国は直轄で除染事業を行い、2017年度末までに宅地、道路、農地、森林(生活圏から20m)で100%除染作業を終えたとしています。

その作業の時に出た土などは、フレキシブルコンテナ(フレコン)に詰められて、積まれている光景が村内各所で見られます。「非日常」の風景が、もう何年も続いています。初期のフレコンは破損して中身が露出しているものも。

郡山など住宅が多いエリアでは、地面に埋められているものも多いそうです。ひとつ1トンもあるフレコンを再び掘り出し、処分施設に輸送しています。重機が使えない場所は、手掘りだそうです。


 

 余談ですが、上の写真を拡大すると、山肌に、木々の少ないエリアがあります。ここは原発事故以前は、観光ワラビ園としてにぎわっていたそうです。でも再開は期待できません。残念なことです。

 飯舘村の面積の75%は山林ですが、山林は基本的に除染の対象外。高橋議員のご実家は林業ですが、出荷どころか間伐に入ることすらできないそうです。見通しもつかないまま山は荒れていきます。


 

環境省の資料では、フレコンの多くは民有地に積まれ、住民帰還の妨げになっています。その嵩を減らす「減容化処理」施設が飯舘村内で稼働しており、地元の髙橋議員のご尽力で見学させていただくことができました。



 

 この施設は、飯舘村の除染廃棄物や家屋解体廃棄物と、福島市、南相馬市、伊達市、国見町、川俣町の計5市町の農林業系汚染廃棄物などを焼却しています。放射性物質で汚染された廃棄物の焼却ということで、どこに設置するか相当シビアな議論があり、飯舘村のこの地域で受け入れた経緯があるそうです。山を造成し、400億円かけて新設(参考までに、目黒の清掃工場建て替えは日量600トンで514億円。あんまり参考にならないかな)。2016年から運転を開始し、2020年には稼働を終える予定です。

 

 除染と廃棄物処理の全容は膨大です。この施設の位置づけや、福島県全体の除染状況は、環境省の除染情報サイトもご覧ください。⇒http://josen.env.go.jp/

 

 敷地内の管理棟では、責任者の方がビデオを交えてご説明くださいました。


 

 この焼却施設は、2つの炉を備え、24時間体制で毎日240トンを焼却。焼却灰、飛灰とも密閉施設の中でフレコンに封入します。1キロ当たり10万ベクレルを超える灰は、遮蔽壁のある一時保管庫で保管されます。

 

 煙突には放射性物質監視装置を設置し、敷地内の空間線量や地下水の放射能物質濃度も測定しているそうです。最後の写真のモニター右下にある数字は、帰還困難区域内の線量です。


 

 この施設は焼却灰の資材化施設もあるはずなのですが…DVDでもパンフレットでも、そのことには一切触れず。デリケートな問題を抱えた施設といえます。