1月3日、NHKテレビ「高麗屋三代の春」を見る。松本幸四郎が二代目白鸚、市川染五郎が十代目幸四郎、松本金太郎が八代目染五郎を襲名するに当たっての特別番組である。もちろん歌舞伎は守備範囲外だが、新白鸚とは旧知の仲で、長年、賀状を交換し合っている。その昔、彼がまだ染五郎時代、『王様と私』『ラ・マンチャの男』などに初主演し、それ以来の付き合いだからだ。

 

 歌舞伎のホープなのに〝赤毛〟のミュージカルに出演する――当時としては大冒険だった。番組とは関係なく、ついそんな往時に思いを馳せてしまった。

 

 1月6日、東急シアターオーブへ「ニューイヤー・ミュージカル・コンサート2018」を聴きに。アメリカ、カナダ、イギリスの実力派ミュージカル俳優たちが、声量、歌唱力ともに全開で得意のナンバーを競い合う。『マイ・フェア・レディ』の「君住む街角」から『アナと雪の女王』の「レット・イット・ゴー」まで耳慣れた曲が次々と飛び出す。ブロードウェイ・ヒット作の招聘公演でもない、人気スターの特別出演があるわけでもない、この手のジョイント・コンサートがなり立つというのは、それだけ日本のミュージカル市場が成熟した証しではなかろうか。

 

 1月9日、『ショーガールVol.2~告白しちゃいなよ、you~』。於EXシアター六本木。脚本・作詞・構成・演出三谷幸喜。出演川平慈英、シルビア・グラブ。演奏は作曲者の荻野清子がピアニストを兼ねるトリオが受け持つ。

 

 2時間足らず、前半が掌篇オリジナル・ミュージカル、後半がヒット曲メドレーという構成は、前任者福田陽一郎のアイディアをそのまま踏襲したものだ。日本のミュージカルにも歴史あり。

 

 第1部はホテルの一室という設定で、シルビアがテレビ脚本家、川平が水道の不具合を見に来た配管工を演じる。執筆が捗らない脚本家、いつの間にやらその手助けをすることになった配管工。そのなりゆきが笑いに笑いを呼ぶ。

 

 川平とシルビアがそろって達者で、呼吸もぴたり合っている。シルビアのスレンダーな両足がやたらと眩しかった。

 

 1月10日、20世紀フォックス試写室で『グレイテスト・ショウマン』。ヒュー・ジャックマンが歴史に名を残すサーカス興行師P.T.バーナムを演じている。ミュージカル・ナンバーを作詞作曲したベンジ・パセック&ジャスティン・ポールは、『ラ・ラ・ランド』の作詞コンビでもある。アカデミー賞主題歌賞にノミネートされた「ディス・イズ・ミー」ほか、スケールの大きな楽曲がいくつも並ぶ。階級・人種差別の視点をとり入れている点に新鮮さを感じた。ミュージカル愛好家必見。

 

(オリジナル コンフィデンス  2018/2/5号 コラムBIRD’S EYEより転載)

 

             楽しんだ3作品のパンフレットです。