日本国宝展 | 阿部友子

日本国宝展

「祈り、信じる力」というサブタイトルが現すとおり、信仰の力強い美しさに魅せられました。

 原始時代から中世までの様々な美術は、素朴であったり繊細であったり、洗練されていたり・・・、原始でも神道でも仏教でも色んな様相ありましたが、どれも強い信仰心によって創作者や信仰者の魂が込もっていました。それはひとつの生命体になり、時を経てその想いは受け継がれ、遺され、こんなにも多くの人を魅了し続けるという事に感銘を受けました。

 国宝120点。どれもこれも素晴らしい存在感ですが敢て気にいったのが

 『玉虫の厨子』
 廂裏や貫に一部玉虫の羽が残っているのを学芸員の方が解説しておられました。「捨身飼虎図」の図案的な美しさは見事ですが、建物としてお厨子全体を観ても素晴らしい均整。

 『楓蘇芳染螺鈿槽琵琶』正倉院宝物
 ひたすら綺麗。大振りの螺鈿細工が裏面にビッシリの様子は教科書や何かで目にしていましたが夜光貝(?)白蝶貝(?)の螺鈿の、角度によって色合いが変わる様子が万華鏡のよう。あと、離れて観たときの全体の涙型のシルエットがとても美しい。

 『孔雀明王像』(平安時代)
 先日サントリー美術館で拝見した快慶作の仏像の平面化したような。孔雀のひょうきんな顔と孔雀明王の知的で玲瓏な表情。体躯や表情、衣紋の線の美しさ。

 『地獄草紙』
 罪人を焼く地獄の炎がとても美しい。平安時代作やのに残っている、燃える朱の色の力強さ。速水御舟「炎舞」もここからの着想かと思ったり。

 『松に秋草図』長谷川等伯筆 
 3歳で亡くなった太閤秀吉の長子の菩提寺の障壁画。金箔地に大振りで悠々と自由な松や秋草、無邪気なムクゲや芙蓉の花は、3歳の子の霊を慰めるイメージにぴったりの明朗な静けさと穏やかさ。

 『観音菩薩・勢至菩薩像』京都大原三千院 
 かなり屈みがちな上半身が、今際の床に伏している人や悩みうずくまる人を安らかに救済しようとしているように感じました。



 あまり予備知識がないままの鑑賞になったので「あれもこれも国宝でレベル凄いねー」と呟き、「・・・ってだって国宝展やーん」とノリつっこみ。

 会期頭に行きましたが、開館15分前で100人超え待ち。(平日)
行けるうちに、がお勧めです。口コミ等でどんどん観客増加は必至!