本を読んでいて、においを感じることってありませんか。
 それは決して美味しい料理の本ではなく、小説を読んでいてです。
 久しぶりににおいを感じる本に遭遇しました。

 島本理生『あなたの呼吸が止まるまで』(新潮社、2007年8月)

 島本理生氏の本はこれが3冊目。
 最初に読んだ『ナラタージュ』の印象が強く残っていて、2冊目『大きな熊が来る前に、お休み』では、短編集であることもあって『ナラタージュ』を超える印象はありませんでした。
 そして2年ぶりの長編小説ということで手にした3冊目。

 主人公が小学生の女の子であることがわかった時点で、何か嫌なものを感じました。(苦笑)
 文章表現でいえば相変わらずうまい表現が散りばめられていて、『うまいなぁ』と思うこともしばしばでした。しかし、主人公が小生の子供たちと同じ年代であるということから来るのでしょうか、主人公の心の動きがあまりに大人びていて、それがまた読み進めるのをつらくさせてしまいました。
 そして何よりにおい。
 決していい香りといったものではなく、さりとて、すえたにおいではないのですが、本を読みながらいやーなにおいを感じてしまいました。

 これを島本氏の新境地といえばいいのか、それともこれまでの延長線上にあるといえるのかはわかりません。
 しかしこれまで3冊を読んできて、島本氏の「心の闇」の部分がどんどんデフォルメして描かれるようになっているように感じます。今後もその傾向が続くと、本に手がのびなくなるかもしれません。

 ところで、この本の表紙も表面がざらついた感じに仕上がっています。『編集者という病い』と同じです。『装丁者が同じかな』と思って調べてみましたが、どうも違うようです。最近の流行でしょうか。