4/27~4/30 「時速246億」の『NO.721』を観に行きました。
作・演出が御笠ノさんということで、観る前からとても楽しみにしてました。中島鉄砲火薬店のときに初めて、御笠ノさんのことを知ったのですが、御笠ノさんが創り出す世界にとても魅せられたのです。
新宿シアターモリエール
段差のない会場だったので、見づらい部分があったのが残念でした。でも、見えづらいというお客さんの声を聞いて、表現の仕方を変えてきたんですよね。(最初のゴドーと少年が出会うシーンでしゃがみこんでいるところ)
中々、返事をしないゴドーに痺れを切らしてちょっかいを出す少年。初日は、後ろのお客さんに見えづらい小さな動きだったと聞きました。(確か、ゴドーにツンツンとする?だったかな)
わたしが観た回では、少年がめちゃくちゃ大きなくしゃみをゴドーに向かってする。日替わりで、ゴドーの背中にお尻を乗せるといった動作でした。こうやって、みんなで良いものを見せよう、みんなで良いものを創ろう、と日に日に変えてくる部分に感動したり、舞台らしさというのを感じてました。
最初は、初見なので物語についていくのに必死だった覚えがあります。難しい用語もちらほら出てきて、自分の中で消化するのに必死だったというか。そして、涙が溢れて止まらなかったです。
特に泣いたシーンは、ソニーが自分が人喰い種族ということを知り、発狂してしまうシーン。
あのシーンでは、鳥肌が立ちました。人が壊れてしまう瞬間、を目の当たりにした気がして。心が痛くて痛くてたまりませんでした。舞台を観て、鳥肌が立つという経験が初めてだったのでとても印象に残っています。
そして、ソニーが消えてしまったシーン。ゴドーとコウベのやりとり。
コウベの悲痛な叫びが辛くて、苦しくて、そしてそれをただ黙って受け止めるゴドーの辛そうな表情に心が締め付けられました。
『ソニーを返せ、返してくれ』と涙を瞳に溜めてゴドーに掴みかかる。そのあとの『ソニーって、誰やねん・・・ なぁ・・・』っていう台詞が、本当に切なくて。わからない、わからないけれど、どこかでソニーがみんなの中にいるんだって。
最後に、戦争がないと知ったときのゴドーと少年のシーン。
何も変わらない人間に、戦争をし自ら滅びの道を選んでいく人間に絶望をしながらも、きっときっと、どこがで希望が胸にあったんだって。
ゴドーの泣きながら、どこか笑いながら、喜びながら泣いている姿に。ゴドーが報われたこと、今まで見守ってきて、幾度となく繰り返してきた全てに意味があったんだ、無駄じゃなかったんだ、ということが嬉しくて仕方なかったんです。
ゴドーは人間は馬鹿だ無能だと散々罵ったけれど。呆れたりもするけれど、大好きで仕方ないんだな。人間が愛しいんだなって思いました。じゃないと、あんな優しい瞳で見守ることなんて出来ない。
見守ること、って何よりもチカラになることだと思うんです。誰かが見ていてくれているから、出来ることもあるんですよね。
わたしは、この舞台を観て『関係』が素敵な物語だなと思ったんです。人と人との関係が。ゴドーは関係が素晴らしいものだと言った。ゴドーが、少年と関係を築いて『友達』になったとき。握手をして笑顔で終わるシーンに未来を感じました。新たなはじまり、なのかもしれないなって。
物語が進んでいく中で、コウベとひとりひとりが話すシーンがあるんですよね。そこでも『関係』を感じた。あぁ、この人達は仲間なんだ、って。徐々に見せるコウベの優しい表情を見ていたら、わかることでした。
6公演、観たけれど ぜんぶぜんぶ全く違ったものでした。そして、1回1回が全力で公演ごとにどんどん良くなっていく。目を瞑ると、鮮明に思い出すんです。あのシーン、あの台詞、って。『NO.721』はわたしの心の中でずっとずっと生き続けます。
この『NO.721』を通して、驚くことばかりでした。役者 藤原祐規の成長に。この人の可能性は無限大だ、と改めて感じたし、演技に魅了された。立ち止まるということを知らない、前へ前へと進んでいく。底が知れないんです。本当に。
表情ひとつひとつが繊細で。ゴドーという役を通して、格段に演技の幅が広がった。ゴドーに命を吹き込むことにたくさん悩んで葛藤して、苦しいときもあったはず。でも、その葛藤をこれって充実ってことなんだと思うって言った。
充実と感じる、そんな役とふっきーが出会えたことも本当に嬉しいし、素敵な人達に囲まれて、本当に良い環境で芝居が出来たってことも嬉しくて仕方ないのです。演じるということに、みんなで創り上げるモノづくりが本当に楽しくて仕方ないんだろうなって。
わたしにとって、何よりも幸せで何よりも嬉しいこと。
この6公演を通して、ふっきーの演技の変化に出会えた。そして、その変化に気づくことができた。毎日が成長なんだって。ふっきー持つ、可能性がとても頼もしくて眩しいです。
次はどんな藤原祐規に出会えるのか、とても楽しみで仕方ないひらめき さあやでした。
