「朱里ー!ねぇ彩見た!?」
「なんかさっき
知らないおばさんと出てったで」
「お母さんや…」
「早く探しに行き」
「なぜ止めなかった!?
愚かなる朱里ー!」
「みるきー!
それがあんたの答え?」
「うん」
「じゃあそこ見たら
探してるものあるかもよ」
朱里が指差した方は
ホテルの屋上にいた彩
「彩!」
彩が私を嫌いになってもいい
でも私の側からいなくなるのはダメ
「彩!彩!彩!?
ヤダ…ヤダヤダヤダ!
彩ーーーーーー!」
パシャッ
「そんな風に叫ばれたら
出てくるの気まずい」
「紛らわしいことすんなバカ!」
「いや…てっぺんにおったら
お前が絶対見つけてくれると思って
本当は俺がお前を見つけなあかんのに」
「彩!」
「ちょっと待った!」
「え?」
「お前…母ちゃんのこと
気づいてたんやろ?」
「うん…」
「お前が俺の名前叫んだ時
俺を気づいたんやって」
「会っちゃいましたか?」
「幸せに暮らしてるって」
「ショックでしたか?」
「いや…思ったより平気やった
俺は一人やないから」
「え?」
「俺にはいつだって
美優紀がおるから…
俺でホンマにええんか?
空っぽで…お前のこと傷つけたし」
ガバッ ギュー
「そんな彩が…
私のヒーローなんやで
世界でたった一人の」
「へなちょこなヒーローやわ」
「ヒロイン失格にはちょうどいいよ」
「「ンッ///」」
脇役だろうがなんだろうが
もうなんだってよくない?
だってみんなは世界で
たった一人にヒロインなんやから
「美優紀!」
「おう」