「あんま美優紀のこと

からかうなよ」


「何?気になっちゃう感じ?」


「どうせ遊びで

ちょっかい出してるだけやろ?

あいつアホやから

勘違いするから

お前がいつも遊んでる女とは違う」


「俺が本気やったら…

そうやったら納得する?」


「いや、別に俺には…」


「まさかここで

沖田さんの名前出す気?

悪い男やなぁ

俺なんかよりずっと立ち悪い」


「お前いい加減しろよ」


「いい加減にするんはお前や

美優紀ちゃんのこと

心配するふりして

結局は自分を好きでいてくれる

彼女を手放したくないだけ

それって残酷やない?」


そう言って由依は去って行った


「お待たせ!

あれ?横山くんは?」


「知らねぇ」


「なんかあったん?

なんか聞いた?

あたし横山くんのことは

なんとも思って…」


「別にいいから」


いくない!

来年も再来年もその次の年も

花火一緒に見たいのは彩だけ

私にはずっと彩だけやねん!」


「俺は俺はずっとなんて信じへん」


「ん?」


「何も持ってへんねん俺なんか

最後にはみんないなくなちゃう

俺が空っぽやから

母ちゃんも沖田もお前も」


「あたしは違う!」


「よく言うよ!

俺がおらんくても

夏休み楽しんでたやん」


ごめんなさい!」


「はぁ!?」


「寂しかったよね?

悲しかったよね?

ホンマにごめんなさい!」


「顔上げろって!」


「彩のこと一人ぼっちにさせて

ギャップねぇギャップ大作戦なの!」


「はっ?」


「ギャップ作れば

彩の気を引けるって言われてん

でもこの夏休みずっと

彩に会いたくて会いたくて

しょうがなかったの!

でもこれも全部言い訳だよね」


「美優紀って…

こんな優しかったっけ?」


「えンッ///


夢じゃないよね?

彩がキスしてくれた