って思いたいのに
ただただ空しい
あたしと彩が築いた10年間
沖田さんに一瞬で
追い抜かれた気分
「美優紀」
「彩…」
「やめろよな
突然いなくなるの」
「もしかして…
心配してくれたん?」
「まぁな」
「沖田さんは?」
「帰った」
「沖田さんのどこが好きなん?」
「はぁ?」
「ええねん教えてよ
あたしと彩の仲やん」
「夢がさ…夢があるんやって
ジャーナリストになって
自分の言葉で世界に
何かを伝えたいんやって
めっちゃすごくねぇ?」
「そういうのがあるやつやって
持ってるんやなぁ
地震とか余裕とか…
とにかく俺が持ってへんものが
あいつにはいっぱいあんねん」
「…もう彩ノロケすぎ~」
「はっ?」
「先コンビニ着いた方が
ジュースおごりね?」
「おい」
勝ち目ないやん
夢なんて
そんなキラキラしたもん
持ってるわけないやん
だってあたし…
今まで彩の背中しか見てへん
諦めよう…今この瞬間に
きれいさっぱり