1…2…ふぅ」


明日は大会

それは地区予選決勝

甲子園に出れるかかかってる試合

夏の甲子園への思いは強い

負ければ先輩は引退する

お世話になった先輩のためにも

勝ちたい


「彩くん」


3…4…


「彩くん!」


「美優紀先輩」


この人は渡辺美優紀先輩

我が難波高校野球部のマネージャー

そして俺の憧れの人


「遅くまでお疲れ様

でも頑張りすぎやで?」


「先輩は何してたんですか?」


「んー?これ」


「お守り?」


「うん頑張ってる皆のためにできるの

これだけやし


「でも一回戦の時にもらいました」


「うんでも明日は大切やし

特別やからね

新しいのいるやん」


先輩は綺麗に笑った

手には絆創膏が貼られていた


「ありがとうございます」


「ううん

彩くんよかったら一緒に帰ろ?」


「はい!喜んで」


「ついに明日やなー

私が入ったときは弱小なんて

呼ばれてたのにいつの間にか

決勝行けるようになったもんな」


「美優紀先輩の

サポートがあったからですよ」


「そんなことない

皆、頑張ってくれたから

私は応援しかできひんよ」


「ちゃいます!

美優紀先輩がおるから

頑張れたし!

安心できました!

だから美優紀先輩のっ!

すいません俺」


「ううん、めっちゃ嬉しい

ありがとう」


「い、いえ///


「彩くんって優しいな

さすが次期キャプテン」


「いや福本先輩みたいには」


「そうやな

愛菜はすごいキャプテンや

でも彩くんらしいキャプテンで

ええと思うけどな」


美優紀先輩は福本先輩が好きや

ときどき悲しそうな顔するし

その度に辛くなる


「先輩あの」


「私な愛菜のこと

ずーっと好きやった

恥ずかしいくらい

でもなもう吹っ切れてん

まぁそれはある人のおかげっていうか

だからもぉええねん」


「好きな人ですか?」


「うん、そう

でも無理かなー鈍感やし

野球しか見えてへん」


「そうなんですか


「うん」


「あの先輩

もし俺が明日

ホームラン打てたら...

俺を先輩の好きな人にしてください」


「え?」


「可能性ないのは分かってるけど

でも俺、見ててほしいから

頑張るからお願いします」



「っあー俺何を

忘れてください


「無理聞いちゃったし」


「へ?」


「ホームラン打ってな?

送ってくれてありがとう

おやすみ」


「う、嘘やん


2日後


(美優紀ー!遅刻するでー)


「分かってるー!」


(ホンマにいつもギリギリなんやから

誰に似たんやろか?

あ、美優紀~!野球部

新聞に載ってるでー!)


「帰ったら見るからー!

行ってくるー」


(もぉあんなに

おしゃれして彼氏でもできたんか?

どれどれ...へぇー

難波高校勝利

さよならホームラン








山本彩くんねぇ