1ヶ月後


「今日美優紀夜しか来ないんか


(彩さん、点滴変えますね?)


「ありがとうございます」


(彩さんの奥さん美人さんですよね)


「自分に釣り合わないくらいですよ」


(そんなことないですよ

彩さん看護師の間で人気なんですよ?)


「え?」


(優しいし

イケメンだしって)


「謎です」


(気分転換に散歩でもしませんか?)


「いいんですか?」


(寝たきりは退屈ですから

院内で良ければ)


「じゃあ行きましょ」


車椅子で押されて散歩して

部屋に戻ると

美優紀が来た


「彩ってほんとに死ぬん?」


多分」


「こんなに普通に話せてるのに?」


「いつか喋りにくくなるって言われた」


死んだら嫌や」


「俺が死ぬ日はさ

誰かが生まれる日なんやで」


「え?」


「逆に俺が生まれた日は

誰かが死んだ日でもある

だから全然寂しい日なんかやない

お願いがあんねんけど」


「なに?」


「俺の最後の日

美優紀には笑顔でいて欲しいんだ」


無理かも知れへんで?」


「少しでもええから

笑顔見せてな?」


「うん


俺は次第に体力がなくなり

呼吸が弱くなり喋りづらくなった

そして俺にとっての最後の日


美優紀おる?」


「おるよ!ここにおる!」


「笑顔?」


「うん、笑ってる」


「寂しい日やないって

言ったけど

美優紀が死ぬ時

その時は世界中が

悲しんでほしい


「彩がいないなんて


なんか嬉しいそれだけで

生きてよかった


もう何も見えなかった

俺はもう死んだんや


「彩?彩?」


ん」


「彩起きて?」


あれ、家や」


「なんで泣いてるん?」


「え?なんか長い夢を見てて

そうか夢か夢でよかった」


「どうしたん?」


「美優紀」


ギューッ


「どうしたん?」


「今日デートしよな?」


「ええん!?」


「ほんの少しでも一緒にいる時間を増やして

2人で長生きしような?」


「なんか彩可愛くなった」


「そんなことないよ」


「どこ行く?映画?ピクニック?」


「行ってから決めよ」


ほんの少しずつ、

2人で強くなろうね

どっちが先に死んでも

寂しくないように