「彩


「美優紀に初めて会ったときのこと

すごい覚えてる

父さんが死んじゃって

怖いおばさんが来て怒られて

これは俺が悪いことしたから

いい子ちゃうかったからやって

そのとき美優紀が助けてくれた

抱きしめてくれた

俺を子供にしてくれた

いっぱい愛をくれた

美優紀と出会ってから

俺ずっと笑ってる

何回も泣いてる

何回も怒ってる

感情が出来てん

出せるようになってん

美優紀は不安になったら

抱きしめてくれた

俺、一人じゃなくなった」


「彩うわぁ///


「昔、美優紀好きな人おったやん

あの悪い人

それずっと怖かってん」


「怖い?」


「美優紀はいつか

誰か好きになる

一番が俺じゃなくなる

それが怖くて怖くて

もっと早く生まれたかった

美優紀と同じ時に生まれたかったって

高校受かったら美優紀に気持ち伝えるって」


「彩


「さーちゃんはみゆちゃが好き」


ただ思った

カッコイイと

泣きそうな顔も

真剣な目も

気づけば強く抱きしめてた


「アホやなぁ

他にも出会いあるで?

高校入ったら」


「美優紀しか見えへん」


「アラサーやで?」


「美優紀は若いで」


「もう離さへんで?」


「うん、離したらアカン」


「彩

私も彩が成長する度恋してた

伝えへんつもりやった

まさかいうことになるなんてな」


「美優紀ぃ


「泣かんとって」


「嬉し泣きやもんっ!」


「ンッ!!


大好きっ」


「キザやな///







「それで付き合っちゃったんや」


「まーそうなりました」


「よかったやんみるきー」


「ま、幸せならいっか」


「ヘヘヘッ幸せぇ

な、彩っ」


「そーやな」


「言っとくけど

凪沙のおかげやからな!」


「はいはい」


ホンマにそうやな凪ちゃん

彩を預かるって決めたのも

凪ちゃんのおかげやった

私を母親になれるって

言うてくれた


「みるきー幸せそうでよかったぁ」


朱里お姉ちゃんは

いつも影で支えてくれた

マスコミに出そうになったのを

揉み消してくれたのも知ってる

仕事のスケジュールを

調整するように

事務所の偉いさんに話してくれたのも

ホンマにありがたいことや


「あの釣り師が」


菜々お姉ちゃんは

いつも側で助けてくれた

小言言うけど

でも絶対助けてくれた

母親になれたのは

姉ちゃんのおかげや


「でも今は

俺に一途やもーん」


そして彩

私のことをみゆちゃと呼んでたのが

いつの間にか美優紀に変わった

それと同時にホントの意味で大人になった

告白してくれてありがと

自信なかったから

彩が誰かのものになったとき

祝福する自信

だからよかった

そんな日二度と来ないから

彩のことは一生離さない

大切な息子、大切な彼氏


「彩」


「何?」


「愛してんで」