お葬式の会場に着くと

懐かしい親戚の人がいた

別に会いたくもなかったけど


「人いっぱい!」


凪ちゃんが走り出して

その先には

黒い服のおばさんがいた


(静かにしなさい!)


「ごごめんなさい」


(ほんまにアホやな)


「あの


(あー美優紀ちゃん久しぶり

よくテレビ見かけるで

よかったらサイン…)


「別にいいですけど

手離してもらっていいですか?

その子は私の姪っ子なんで

凪ちゃん行くで」


「うん!」


私は凪ちゃんを連れて

おばさんから離れた


「お姉ちゃん」


「ん?」


「式始まるまで

凪ちゃんと散歩してくる」


私たちは外に行って

うろちょろしに行った


「みるきー」


「んー?」


「死ぬって何?」


「それはね

もう起きなくて

会えなくなることかな」


「なんで?」


「人はいつか死ぬねん

みんな生きてたら

ぎゅーぎゅーになるから」


「みるきーも死ぬん?」


「いつかはね

凪ちゃんも一緒やで

明日死んでもええように

生きなあかんで」


「うん!」


「やっぱり凪ちゃは

ええ子やなぁ~」


頭をなでると

嬉しそうに笑った


「お姉ちゃんが鬼になる前に

式場に戻ろ」


「鬼っ!?」


「安心して

凪ちゃんええ子にしてたら

鬼にならへんから」


「ええ子してる」


「よし!」


「みるきー」


「ん?」


「あそこ見て」


凪ちゃんが指さす方には

小さい男の子が座っていた

黒い服を着てるから

参加者の子かな?


凪ちゃんがその子へ

走り出した


「迷子?」


「ううん」


「ママとパパは?」


「いない」


「みるきー」


「ん?」


「迷子みたい」


「そうみたいやな

中に入ればおるかもしれへんで」


「一緒に行こ」


凪ちゃんは男の子の手をとった

中に入ると近くのおばさんが

こっちに駆け寄ってきた


「彩どこに行ってたん!?

早く来なさい!」


無理やり手を引っ張って

あれが親なん?

男の子を一番前に座らせたら


式が終わり

棺に最後の挨拶をする

そして後ろから

凪ちゃんと眺めてると

おばさんが男の子を抱けてた


(パパに挨拶しなさい)


パパ?

まさかあの子が


「お姉ちゃんあの子は?」


「さっき言ってた

おじさんの息子の彩くん」


「小さ!」


4歳やったかな」


「え?」


「パパおっきして!

パパパパ!」


(もういいから

パパから離れなさい)


無理やり引き離した

すると棺は車に乗せられた

そして私たちも移動

私は彩が気になって

彩のところに行った


(行くで!)


「はい


彩は泣いてなかった

泣きじゃくってもおかしくないのに

この子はちゃんと言うことを聞いて

車の中に入っていった

私は見逃さなかった

あんな小さな体で

手が震えているのを我慢してる