「黒髪と茶髪どっちがいい?」
「茶髪かなー茶髪の方が似合ってた」
「えー…そっか」
「そう言うと茶髪にするんでしょ?」
君は私の気持ちも行動も
ぜんぶお見通しなんだね。
そうだよ。
きみに言われたら
髪の色だって、服装だって
変えちゃうんだよ、わたし。
だって、
いやこの続きも君は知ってる。
「いつも俺の後ろを歩くよね」
君の隣にはいられないから
少し後ろを歩くんだよ。
君の姿をずっと見ていたいから
少し後ろを歩くんだよ。
隣に立ったら、ずっとそこにいたくなる。
ずっといられないから、目に焼き付ける。
そんな気持ちも、君はきっと知ってる。
いつか終わる恋なら早く終わればいい
今まではそう思ってた。
今はね、終わるのが怖いよ。
一緒にいれる時間がなくなってしまうのが
ほんとにほんとに怖いんだ。
どっかで生きててくれればいい
そんな大きな愛じゃない。
でも、自分のものにしたい
そう思うほど小さな愛でもない。
朝の駅で、黙ってうつむいた私に
「どうした?言いたいことは言いなよ」
って君はいつものように
私から本音を引きだそうとした。
でもね、
「もっとずっと一緒にいたいときは
どうすればいい?」
それは彼女じゃないから聞けないでしょ?
君はなんでもお見通しだから
それでも黙る私に
「気をつけて帰りなよ」ってもう
何も引きだそうとしなかった。
それが君の決めた境界線だね。
2人ではたくさん一緒にはいられない。
きっと、いたいと思ってるのも私だけ。
わかってる。ちゃんとわかってます。
深い傷はね、刺さってるときよりも
抜けた後の方が痛いんだよ。
ずっと痛いんだよ。
それは、君は知らないこと。