母はわたしが17歳の時、亡くなった
自宅で美容院をしていて10年過ぎた時

昭和のそのころは
まだ成人式はみな、自分の振袖で
レンタルもほとんどなくて

自分も成人式には振袖を母に着せてもらう予定だった
が、それはかなわず

同級生の集まる町内の成人式
いってみたら
わたし、ひとり、ワンピース
なんだか、泣きそうになった
あこがれの振袖
そして、母もいない

わたしは、県立の看護学校の学生だったから
もちろん買うお金もなく
父は、母がなくなってから
子どもなりにお金がないのだなあとわかり

まさか振袖をおねだりすることもなく
いとこに
振袖、貸してと頼んだら断られて

結局、近くに住むいとこのお下がりの
ワンピースで出席した

働くようになってから
着物は買ったり、もらったりしたけれど
やっぱり二十歳の成人式

振袖を着て微笑む若い人たちをみては思い出す