日本株は続落へ、円高進行警戒し輸出など広く売り-金融も
6月12日(ブルームバーグ):東京株式相場は続落する見込み。日本銀行の追加金融刺激策の見送りを受け、為替市場で円高が進んだため、企業業績の先行き不透明感から自動車、電機など輸出関連株中心に売りが優勢となりそうだ。銀行や証券など金融、不動産株も安くなる。
SMBC日興証券株式調査部の西広市部長は、「米欧株安と円高の流れを受け、先物主導でぶれが生じやすい」とし、きょうの日経平均株価のレンジを1万2700-1万3100円と予想している。
シカゴ先物市場(CME)の日経平均先物6月物 (円建て)の11日清算値は1万2980円で、大阪証券取引所の通常取引終値(1万3380円)に比べて400円安だった。
11日のニューヨーク為替市場では、円が対ドルでここ3年で最大の上げとなった。日銀が、期間1年超の資金供給オペ導入を見送ったことなどが背景。黒田東彦総裁は会見で、長期金利のボラティリティ(変動)が足元で低下していることなどから、「今のところそういう必要性はない」と見送りの背景を説明した。
円は対ドルで一時95円60銭まで上昇(前日比3.2%高)し、2010年5月(同3.4%)以降、最大の上昇率を記録。12日午前の東京市場では96円前後で推移、東京株式市場の11日終値時点98円18銭に比べ大幅な円高となっている。大和証券では、対ドルでの1円の円高は今年度経常利益を0.8%押し下げると試算している。
「長期金利を抑える働きがあると期待された資金供給オペの期間延長見送りで、金利上昇への警戒やリスク回避から円を売っていた向きが買い戻す動きが出てきた可能性がある」と、SMBC日興の西氏は指摘する。きょうの日本株は、業種別では自動車や電機、機械など輸出関連企業の業績上振れ期待が後退し、金利上昇や株価下落などがデメリットとなる金融や不動産、鉄鋼なども下げが大きくなると予想される。
一方で西氏は、「いったん売られた後は米量的緩和の縮小観測後退や米日の景気回復から買い戻しや押し目買いが入る可能性がある」との見方も示した。主要株価指数の25日線からの下方乖離(かいり)は6.4-6.5%に達し、騰落レシオも75%まで低下したとし、日本株は水準としては買いゾーン圏内に位置しているという。
米主要株価3指数の11日終値は、S&P500種株価指数 が1%安の1626.13、ダウ工業株30種平均 が116.57ドル(0.8%)安の15122.02ドル、ナスダック総合指数 は1.1%安の3436.95。