今日の株式、反発も買い持続には不透明感 設備投資関連に注目

2013/06/10 07:52 日経速報ニュース 1196文字
 10日の東京株式市場で日経平均株価は4営業日ぶりに反発して始まる公算が大きい。7日発表の5月の米雇用関連統計が強弱まちまちな内容となり、米国の量的緩和早期縮小への懸念が後退。前週末の米株式相場が上昇した流れを受け、買いが先行する公算が大きい。もっとも、このところの日本株相場は先物主導で後場に値を崩すケースも目立っており、買いの持続性には不透明感が強い。「安倍晋三首相が設備投資に減税する方針を示した」と伝わったことを受け、設備投資関連銘柄の値動きへの関心が高い。
 前週末7日のダウ工業株30種平均は続伸し、207ドル高となった。早期の量的緩和縮小観測の後退を受け、金融株などに買いが入った。同日のシカゴ市場で日経平均先物6月物(円建て)清算値は1万3220円と、大証の日中取引終値(1万2680円)を大幅に上回っており、日経平均は上昇して始まる公算が大きい。売買高は少ないが日本時間10日朝方のシカゴ市場のGLOBEX(先物取引システム)で日経平均先物6月物は一時1万3315円まで上昇した。
 もっとも、買いが続くかには慎重にみるべきだろう。足元の日本株相場は後場に値動きが大きくなるケースが目立っているためだ。6月に入ってからの前場と後場の日中値幅(高値と安値の差)の平均を比較すると、前場が242円に対し、後場は412円。株価指数先物主導の相場展開が続いており、先物の思惑的な売買で相場が崩れるケースも増えている。
 足元で1ドル=98円前後で推移する円相場にも警戒が必要だ。7日のニューヨーク市場では米雇用統計発表後に94円台まで上昇した後、その後、円安・ドル高が進んだ。株式相場だけでなく、円相場もボラティリティー(変動率)が高い地合いが続いており、輸出株に安心して買いを入れるのは難しい外部環境が続いている。
 仮に日経平均が下げ、4月4日終値(1万2634円)を下回れば、黒田日銀の異次元緩和後の上げが帳消しとなる。10~11日には日銀は金融政策決定会合を開く。会合をにらんで海外投資家などから追加緩和を催促するような仕掛け的な売りが出ることへの警戒も根強い。
 個別銘柄では設備投資関連の値動きへ関心が高い。8日付の日本経済新聞朝刊のインタビュー記事で「安倍晋三首相は企業の生産設備の更新や事業再編を促す投資減税を実施する方針を表明した」と報じた。中長期的な政策恵期待から設備投資関連が物色される可能性がある。日本維新の会は7日にカジノ法案を衆議院に提出しており、こちらも関連銘柄の動向が注目を集める。
 きょうは8時50分に日銀が5月の貸出・預金動向を発表する。内閣府は8時50分に1~3月期の国内総生産(GDP)改定値を、15時に5月の景気ウオッチャー調査を発表する。海外では、オーストラリア市場、上海市場がそれぞれ休みとなる。〔日経QUICKニュース(NQN