今週の商品 原油、上値の重い展開か トウモロコシは強含み

2013/05/07 07:58 日経速報ニュース 1059文字
 今週(7~10日)の商品市場で、ニューヨーク市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物相場は上値の重い展開か。米景気の回復期待などを手掛かりに、6日の取引では一時1バレル97.17ドルと約1カ月ぶり高値を付けた。ただ、上値では需給の緩みを警戒した売りに押されやすい。
 米エネルギー情報局(EIA)が8日に発表する週間の石油在庫統計への関心が高い。前週に発表された4月26日時点の原油在庫は、データがさかのぼれる1982年以降で過去最大に増えた。シェールオイル(岩盤層に含まれる原油)の生産の本格化などを背景に、米国の原油生産は増え続けている。心理的な節目の100ドルに迫ると、利益確定売りが増えるとの見立ては多い。
 一方で下値も堅いとみられる。イスラエル軍がシリアの首都ダマスカス近郊を空爆したと週末に伝わった。中東地域の緊張の高まりから、原油の供給を不安視した買いが入りやすくなっている。石油輸出国機構(OPEC)が5月末に総会を控え、10日の石油市場月報で世界需給の見通しを変更するか注目する関係者もいる。
 ニューヨーク市場の金は、中心限月が引き続き1トロイオンス1450~1500ドルで推移するとの見方が多い。景気減速感の強まる中国が刺激策に動くとの思惑が浮上している。世界各国の金融緩和を背景とした余剰マネー流入の観測が根強く、下値を支えるだろう。
 金価格連動型上場投資信託(ETF)からの資金流出は相場の重荷となりそうだ。最大手の「SPDRゴールド・シェア」の運用残高は、2日時点で2009年9月以来3年8カ月ぶりの低水準に減った。
 シカゴ市場のトウモロコシは強含みか。米農務省が6日に発表した作付け進ちょく率は全米産地の18州合計で12%と、過去5年平均を大幅に下回った。予報では米穀倉地帯の一部で雪が降るなど悪天候の継続が見込まれており、作付けの遅れで需給が引き締まるとの思惑が買いを誘いやすい。期近物は終値として約1カ月ぶりに、1ブッシェル7ドル台に乗せる場面もありそうだ。米農務省が10日に公表する需給報告では、米国の生産量推定を下方修正すれば、トウモロコシの買いを促すとみられる。

【今週の予定】
◇8日(水)
・米エネルギー情報局(EIA)の石油在庫統計
・4月の中国貿易統計
◇9日(木)
・米農務省の輸出成約高
◇10日(金)
・米農務省の需給報告
・OPECの石油市場月報
・7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議(11日まで)
〔日経QUICKニュース(NQN)