スペイン支援へ 株、買い戻し先行・藤戸氏 中国の過度な悲観論後退

2012/06/11 08:23  日経速報ニュース    643文字  
 藤戸則弘・三菱UFJモルガン・スタンレー証券投資情報部長 11日の日経平均株価は反発して始まりそうだ。欧州連合(EU)のユーロ圏財務相が開いた緊急の電話協議で最大1000億ユーロ規模のスペイン支援を用意すると表明した。欧州債務不安の後退を好感していったんは投機筋の買い戻しが入るだろう。日本時間11日早朝のシカゴ市場のGLOBEX(先物取引システム)で日経平均先物9月物(円建て)が一時8700円台まで上昇したことや、外国為替市場でのユーロ高が手掛かりになる。
 ただ、今回の電話協議の内容を評価するのはまだ早い。スペイン当局の正式な支援要請がまだ行われていない。欧州金融安定基金(EFSF)や、7月発足の欧州安定メカニズム(ESM)が支援するとみられるが、EU内でも担保を要求する国があるなど実行には不透明感も強い。詳細が決まっていない「大枠での合意」にとどまっており、スペインの正式な表明や詳細なスキーム、欧米市場の反応などを見極めるまでは、積極的に売買するのは早計だろう。ギリシャ再選挙も控えており、今週は期待と失望が交錯する値動きの荒い展開になるとみる。
 中国で休日中に発表された経済指標は良い材料と悪い材料が入り交じる結果だった。工業生産が前年同月比で2カ月連続の1ケタ台の増加にとどまるなど緩やかな景気減速を示唆しているものあった。ただ、前週末は、中国利下げの背景にある景気後退懸念を織り込んでおり、過度な悲観論に若干の修正がかかるものとみている。〔日経QUICKニュース〕