今日の株式、小動きか 格下げで円弱含みもギリシャ問題が重荷 

2012/05/23 08:03  日経速報ニュース    1378文字  
 23日の東京株式市場で日経平均株価は小動きか。前日に一部格付け会社が日本政府の長期債務格付けを引き下げ、円相場が下落したことは輸出関連株の見直し買いを誘いそうだが、ギリシャのユーロ圏離脱の可能性があらためて意識され投資家のリスク回避姿勢の強まりから売りに押される場面もありそうだ。日銀の金融政策決定会合の結果発表や会合後の白川方明総裁の会見、欧州連合(EU)非公式首脳会議を控え午後は様子見姿勢が強まりやすいだろう。日経平均は8700円台での推移か。
 22日の東京市場の取引終了後、格付け会社のフィッチ・レーティングスが日本政府の自国通貨建て長期債務格付けを「ダブルAマイナス」から「シングルAプラス」に1段階引き下げ、見通しは「ネガティブ(弱含み)」とした。格下げは約9年半ぶり。国債の発行に歯止めがかからず信用を維持できるかどうかのリスクが高まっているためだという。これをきっかけに前日の外国為替市場で円が売られ一時1ドル=80円台前半に下落した。株式市場ではこのところ強まっていた輸出企業の業績下振れ懸念がやや和らぎ、見直し買いや買い戻しが入る可能性がある。
 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で日経平均先物6月物の清算値は8745円と、前日日中の大証大引け(8730円)をやや上回っており、東京市場でもこの水準まで買いが先行する可能性がある。もっとも「『悪い円安』とみることができ、投資家心理の改善に結び付きにくい」(国内証券の情報担当者)との見方もあり、買い一巡後は伸び悩む可能性が大きい。
 22日の米ダウ工業株30種平均は小幅反落し、前日比1ドル67セント安の1万2502ドル81セントで終えた。取引終了前にギリシャのパパデモス前首相が通信社のインタビューで「ギリシャがユーロ圏から離脱するリスクは現実味がある」と述べ、投資家が運用リスクを回避する目的の売りを出した。朝方は4月の米中古住宅販売件数が前月比で3カ月ぶりに増加し販売価格も上昇したことで米景気の回復期待から一時70ドル程度上昇する場面もあったが、ギリシャ不安がかき消した。
 今晩は欧州連合(EU)非公式首脳会談が予定されており、欧州債務問題への具体策を巡って様子見姿勢が広がりやすい。日経平均は前日、5月に入ってから初めて続伸したが、市場では「反発局面は一服か」との声も多く、上値追いは限定されそうだ。
 取引時間中には前日から開いている日銀の金融政策決定会合の結果が発表される。日本経済新聞が「追加緩和を見送る公算が大きい」などと報道していることもあり、市場では追加緩和への期待は小さい。会合終了後の会見で白川総裁が今後の金融政策方針をどう説明するかに関心が向かうだろう。
 きょうは寄り付き前に4月の貿易収支が発表される。赤字幅が3月から大幅に拡大し5000億円程度となるとの予想が多い。予想通りなら市場への影響は限られそうだ。
 経営再建策をまとめると伝わり前日は大幅に反発したルネサスに買いが続くか注目だ。前日に中国の景気対策への期待から大幅に上昇した中国関連株への買いが続けば日経平均の押し上げ要因となりそうだ。
 海外ではイランの核兵器開発疑惑に関する同国と主要6カ国の協議が開かれる。米国の4月の新築住宅販売件数が発表される。〔